【秋華賞回顧】過酷な流れに動じぬ精神力、操縦性際立ったチェルヴィニア ルメール騎手の完璧なレース運びもカギに
内回りがポイントだったチェルヴィニア
チェルヴィニアがオークス、秋華賞の二冠を達成した。秋華賞創設後の記録ではメジロドーベル、カワカミプリンセス、メイショウマンボ、ミッキークイーンに次ぐ5頭目。三冠完走での達成は3頭目。桜花賞二桁着順からの二冠達成はメイショウマンボ以来11年ぶりのことだ。 【秋華賞2024 推奨馬】全28回で勝66.7%で複88.9%の強データを持つ! SPAIA編集部の推奨馬を紹介(SPAIA) その桜花賞はアルテミスSから阪神JFをパスして中22週での出走であり、結果としてこの使わない選択が二冠につながった。桜花賞は13着と見せ場はつくれなかったが、これも臨戦過程を踏まえれば、と割り切った一戦。順調に調整さえできればその力は世代上位だという陣営の自信というか見立てがあってのことで、実際にその通りの結果となった。 信念をもってことにあたる。木村哲也調教師が普段から心がけている言葉が浮かぶ。昨年、イクイノックスで世界ナンバー1の座を手にした木村厩舎は今年、JRA32勝(10月14日終了時点)。昨年同時期と同じペースで勝ち星をあげる。常に淡々とやるべきことをやる。木村調教師は変わらない。 チェルヴィニアの母チェッキーノは師が尊敬する藤沢和雄元調教師が管理したハッピーパスの仔で、フローラSを勝つなど3勝。オークスはシンハライトにクビ差及ばなかった。その産駒は2022年藤沢師の引退により、木村哲也厩舎に預託された。初仔ノッキングポイントも新潟記念を含む3勝なので、チェルヴィニアは一族初の4勝目を秋華賞であげた。母は中山2勝だが、兄や自身はこれまですべて東京か新潟で勝利をあげており、弟アルレッキーノも同じ。左回りの長い直線を得意としており、今回は京都内回りがポイントだった。 だが、終わってみれば、余計なお世話。変則的な流れでも、淡々と追走し、勝負所できっちり末脚を繰り出した。やるべきことをやる。師の信念を体現する走りだった。無駄なことはしない。そんな姿にイクイノックスが重なる。力を出し切れば勝てる。同世代の牝馬同士なら、その域に到達した。その先を期待したくなるのは当然だ。