少数与党の石破政権、2025年の行方は 参院選見据え「選挙の顔」求める声も
少数与党のかじ取りを担う石破茂首相(鳥取1区)を多くの中国地方選出議員が支えている。林芳正官房長官(山口3区)や赤沢亮正経済再生担当相(鳥取2区)、青木一彦官房副長官(参院島根・鳥取)たちだ。岸田文雄前首相(広島1区)も政権への影響力を保つ。「チーム石破」は夏の参院選までどう歩むのか。東京・永田町の1年を展望する。 石破氏の初当選を伝える紙面(1986年7月8日付中国新聞) 首相は昨秋の衆院選大敗以来、「幅広い合意形成を図る」として立憲民主党や国民民主党の主張を政策に取り入れてきた。実務で頼るのが、同じ鳥取を地盤とする赤沢氏。頻繁に官邸に入り、政策の方向性を協議する。林氏や青木氏も交えて国会対策も練る。 ヤマ場は通常国会での新年度当初予算案の審議となる。その後に控える参院選を見据え、党内には新たな「選挙の顔」を求める声もくすぶる。林氏や赤沢氏、青木氏ら政権幹部は、衆院選で躍進した国民民主党に加え、日本維新の会との連携も検討。安定した政権運営のすべを探っている。 林氏は一方で、将来の首相への意欲も隠さない。2024年の自民党総裁選では岸田氏の支えも受け、9人中4位と下馬評以上の結果を残した。ただ、最近は岸田氏との「溝」がささやかれている。 背景には、資産運用の促進やアジアの脱炭素化を目指す議員連盟を相次ぎ発足させる岸田氏の動きがある。最側近で旧岸田派の木原誠二選対委員長たちが岸田氏の復権を後押ししており、結束を誇った旧岸田派が「林派と岸田派で割れ始めた」との見方が出始めた。 岸田氏は総裁選の決選投票で旧岸田派に石破氏への投票を促し、現政権への発言力を持つ「ベストポジション」(自民中堅)に収まった。今後、林氏を首相に押し上げるのか、自身の再登板を狙うのか。複数の政権幹部が動向を注視している。 総裁選に挑んだ加藤勝信財務相(岡山3区)も将来的には首相の座を諦めていない。 自民党と連立を組む公明党の斉藤鉄夫代表(広島3区)の振る舞いも政権に影響する。再三唱える核兵器禁止条約の締約国会議へのオブザーバー参加などで首相を動かせるか注目される。 最大野党の立憲民主党は、佐藤公治氏(広島5区)が組織委員長を務める。参院選を見据え、野党共闘をどう描くかが課題となる。
中国新聞社