「わき毛、かわいくない?」体毛はいつから恥ずかしいものに 「剃るべき」の呪い解くラッパー
「女の子なのにそんなにドラムたたけてすごいね」「女の子でラッパーって珍しいね」「女のなかでは韻踏めるね」。評価にも常に「女」が付きまとった。 「ラッパーって自分の歴史を解体していくのが仕事。自分で自分をカウンセリングするみたいな。私、本当に自分に自信がない人間なんですけど、じゃあなんでこんな人間なんだろう? なんであのときこう思ったのかな? この価値観が当たり前だから? それって本当に当たり前? そうやって自問自答していった結果、自分自身を取り戻すというか、獲得できた。やっと自分を認められるようになったんだと思います」
「わき毛を生やそうよ」とは言ってない
居心地の悪さを感じ続けてきた自分を解放する表現のひとつとしてあったわき毛。近年、女性を巡る似たような「窮屈さ」が話題になることが多いが、体毛を処理しないことが「女性の解放」だと言いたいわけではない。 「私はわき毛を生やそうよと言っているつもりは全くないです。わき毛を染めたのは、海外の女の子がわき毛を染めているのを見て、単純にかわいいと思ったから。今も腕毛と指毛はボーボーだけど、アンダーヘアと足の毛は剃ったほうが調子いいから剃るし」 緑色のわき毛に対して、「なんで染めるんですか」「ダサいですよ」と言われたこともあった。 「自由じゃないですか? 何がかっこよくて何がダサいかは私が決めるのであって、あなたではない。要するにどっちでもいいじゃんっていうこと。選択の自由、正解の幅を広げたいし、かわいいを増やしたい。極論はそこです」
「眉毛つなげたよかわいいでしょ?」(GRRRLISM)、「太いこの脚でどこまでも走ってゆける」(エビバディBO)、「いい歳って誰が決めたの?」「産まなきゃ価値ないの?」(グランマ)。彼女の曲には、当たり前を疑い、解放する力がある。その主張に、押しつけがましさはない。 「『生やしてて何が悪いんですか! 社会の仕組みが~』とも言えるけど、私は『わき毛、かわいくない?』『ボーボーよくない?』って言葉を選ぶ。言ってることは同じなんですよ、きっと。私の場合はテンション上げたいんで、自分が楽しいと思えるほうを選んでます」