もはやラーメン店ではない?「1000円の壁」をやすやすと超える高級店が増加、人気のワケとは【写真付き】
● 有名ラーメン店、老舗料亭、獺祭の旭酒造が コラボした新しいスタイルの飲食店 有名ラーメンチェーンのAFRIと京都の老舗料亭下鴨茶寮、獺祭の旭酒造株式会社がコラボレーションしたのが「京AFURI SAKE & RAMEN by SHIMOGAMOSARYO」だ。 コースではなくアラカルトの和食と締めにラーメンという店で、ラーメンだけを食べるという雰囲気ではない。京料理をつまみながら酒を飲み、締めにラーメンというスタイルだ。 オープニングイベントでコラボレーションした旭酒造社長の桜井一宏氏によれば、海外のラーメン店にはこのようなスタイルが先行しているという。 「日本のラーメン店ではラーメン以外は、餃子、ビールぐらいしか売れないですよね。ところが、香港やシンガポール、アメリカなど、海外のラーメン店を見ると、サイドメニューが多いんですね」 海外ではラーメン店と和食専門店の区別がなく、客はラーメン店をレストラン的な使い方をするのだそうだ。前菜的な食べ物を頼み、メイン料理、締めにラーメン、最後はデザートまで食べる。 「海外の方は、ラーメン店にラーメンではなく和食を食べに行っているんです。日本酒も召し上がりますし、滞店時間も大変長い。そこで、これまでのラーメン屋ではなく、お酒を飲みながらつまみをいただいてもらい、最後にラーメンで締めるという新しい業態に共感したのです」 「京AFURI SAKE & RAMEN by SHIMOGAMOSARYO」の店のスタイルは純日本風に見えるが、実は海外からの逆輸入なのだ。ラーメンはファーストフードと思われがちだが、海外ではスローフードだと桜井氏は語る。 「アメリカがわかりやすいんですが、ラーメンを1時間半ぐらいかけて食べます。おいしいタイミングでたべていただきたいというのはありますが、会話を楽しんだり、店の空気を楽しんだりしながら、ゆっくり召し上がっています。そういうスタイルもありかと」 食べ方がスロー?まあそれはともかく、海外の人にとってラーメンは急いで食べるものではないというのは、日本人には驚きだろう。 「おいしいラーメンを出したいという思いがあっても、おいしさはどうしても原価に跳ね返ってきます。AFURIさんは本当にラーメン作りに真剣に取り組んでいて、一枚一枚紙を積み重ねるように少しでも価値をつけて、おいしいラーメンを提供したいと努力されてきました。もちろんお酒も飲んでいただきたいですね」 これからのラーメンのスタイルは、もしかしたら寿司やそばのように変わっていくのかもしれない。郊外の大型店舗などでは今まで通りに早く安く提供する一方、都市部ではそば屋のように会席スタイルで提供する。ラーメン店の倒産が急増しているのは、ラーメン業界が進化するための「生みの苦しみ」なのかもしれない。
川口友万