セブン-イレブンの苦戦は「上げ底」が原因ではない?節約志向とポイントで失われた競争優位性
戦略と消費者意識の巧みなすり合わせを行っていたセブンイレブン
セブンイレブンはもともと、高品質のものを販売する高価格路線をとっていました。 ビッグデータ解析を行うリサーチ・アンド・イノベーションは、トップバリュとセブンプレミアムの価格帯を比較調査しています(「長引く物価上昇で、小売のプライベートブランドが好調?!トップバリュとセブンプレミアム、その人気の理由を調べてみた」)。 それによると、麺類の価格帯構成比率において、トップバリュは150円未満の商品が全体の73.4%を占める一方、セブンプレミアムは50.7%に過ぎません。 しかも、セブンプレミアムは2022年に150円未満の商品が56.0%ありましたが、2023年には6%程度減少しているのです。 ヒット商品である「蒙古タンメン中本辛旨味噌122g」が259円であることを考えても、割高な戦略をとっていたと言えるでしょう。 消費者にもそのブランドイメージは浸透していました。セブンイレブンの利用者は年収が高いことがわかっています。 マクロミルの「ブランドデータバンクが調査した、「セブン・ローソン・ファミマ コンビニ3ブランドの利用者を徹底比較!購入商品の違いや特徴とは?」では、セブンイレブン利用者の平均個人年収は480万円。ローソンが443万円、ファミリーマートが461万円でした。 更に別のブランド調査(LINEリサーチ「好きなコンビニ、全エリアでセブンイレブンが1位に/若年世代にはファミマが人気」)では、セブンイレブンが好きな理由のトップに「お惣菜・お弁当がおいしい」があがっています。ファミリーマート、ローソンは、ともに「ポイントがたまりやすい」というものでした。 すなわち、セブンイレブンは戦略的に高価格のものを提供することに注力した結果、競合と比較して高品質であるという消費者意識を獲得することに成功していたのです。 ファミリーマートやローソンはポイントに代表されるように、お得であるというイメージが根強いものになっていました。