在宅診療それとも施設診療?クリニック開業構想…何に重きを置いたコンセプトを手がけるべきか
開業を考え始めた際の初期の構想段階において重要となるのがコンセプトづくりです。どこに重きを置いてクリニックの開業を考えるべきでしょうか。開業前に決めておきたいクリニック運営のポイントについて解説します。 【早見表】年齢別「生存率」0~100歳
5人の医師で1,000人の患者を診る
クリニックを開業することを考えるにあたり、何人ぐらいの医師がいればスムーズなクリニックの運営が可能でしょうか。 筆者自身の経験則としては、5人程度が最も能率的かつ内部のコミュニケーションが取りやすい体制だと考えます。5人の医師で個人宅・施設患者含めて1,000人の患者さんを診るのが、最適なバランスではないかと考えています。 もし、各地で訪問診療を展開するのであれば、上記のような診療体制を1つのユニットとして考えるのがよいでしょう。大人数のスタッフで専門性のある医療を持続的に提供するという形は、これからの在宅医療を考えるうえでとても重要です。 私の場合、自身にゆかりのある地で開業していきました。現在は群馬県太田市を中心に7カ所でクリニックを展開しています。今後もこの形でクリニックを各地に広げていこうと考えています。 訪問診療のクリニックを開業する際、医師が自分1人で行うのか、あるいは複数人で行うのかで運営スタイルは大きく異なります。
首都圏のクリニックの場合
昨今の訪問診療を語るうえでは避けては通れないのが、東京など大都市圏でのクリニック運営です。資本をたくさん持っているグループが全国各地にクリニックを展開しているケースが該当します。 ホームページをのぞくと常勤医師は1~2名にとどまり、あとは非常勤医師で運営されていると推察されます。現在は急速に数を増やしています。 とあるグループは全国に60~70カ所ものクリニックを展開しており、こうしたグループは現在、全国的な広がりを見せています。
医師の人数が多ければいいわけではない
クリニックのコンセプトは3つに大別されます。 1つ目は医師1人体制で1人ひとりの患者さんとの絆を大切に、身を粉にして働くのか。2つ目は資本のあるグループのオーナーが運営する医院で「雇われ院長」になるのか。3つ目は一般の外来診療で開業し、プラスアルファで在宅患者さんを10~20人と診ていくのか。 複数人の医師で開業するのであれば、医師もどんどん増やすことで、きちんと休みを取りつつ、患者さんを診ることができるわけです。しかし、あまりに大人数になってくると、やはり多くの人たちをまとめていく難しさが出てきます。 もちろん、人数が多いとまとめる難しさはあるものの、楽しみもあります。これは私が日々チームで訪問診療を行うことで感じている点です。ある程度の人数で、そこで共通の理念や価値観、あるいはミッションなどを共有し、みんなで協力しながら仕事をするということは、自分たちの生活にも張り合いが出て、生き生きと働くことができます。 それが患者さんの療養生活の充実にもつながっているのではないかと考えています。