まるで「小さな北千住」?東武伊勢崎線の「久喜と鷲宮」に何があるのか 久喜はJR宇都宮線との乗換駅、鷲宮は?
「鷲宮駅はアニメ『らき☆すた』の舞台になったということで、一時期はずいぶんとたくさんのファンの方が来られました。聖地巡礼の先駆けですね。いまでもカメラを持ってこられる方はいます。また、駅の西側にはわし宮団地という昔ながらの大きな団地もあります」(色川駅長) 鷲宮駅のホームは2面3線。ただし、中央の1線は線路が途中で途切れて車止めが設けられており、事実上2面2線。橋上駅舎から改札を抜けて西口に出ると……ちょっと変わった風景が広がっていた。駅の出口のすぐ先で、小さな川を渡る。駅前のロータリーは、橋の向こうにあるのだ。
■鷲宮駅周辺はお花見の名所 駅の下り方(北側)で二手に分かれる青毛堀川の川沿いには桜の木が植えてある。 駅西口のまだ桜の咲いていない川沿い(つまりそれは線路沿いでもあるのだが)を歩いて行くと、ほどなく踏切へ。踏切を渡った先には、鷲宮の町のシンボル・鷲宮神社が鎮座する。 真っ赤な鳥居が印象的な立派なお社。鳥居の前には門前町が形成されていて、こちら側を流れる川沿いには見事な桜が咲き乱れていた。2月から3月上旬にかけて見頃を迎える河津桜だ。
河津桜に見とれながら鷲宮神社の門前町を歩き、鷲宮駅の東口に向かう。西口を出てからほんの15分ばかりの小散歩。カメラを片手に散策している人の姿も見かけたが、「らき☆すた」ファンか、それとも鷲宮神社の参詣客か。 いずれにしても、昔ながらの小さくも味わいのある町並みが、駅の周りに広がっていた。鷲宮駅東口には、そんな町の誇りのシンボルのように大きく構えた立派な駅舎が建っている。 ■都心と北関東の分かれ目 そして、再び久喜駅へ。のどかで、ちょっと昭和を感じさせてくれる鷲宮駅とはうってかわってターミナル。久喜駅は、運転系統もそうだし、実態としても“都心”と“北関東”の分かれ目という要衝の駅なのかもしれない。1899年に東武鉄道が最初に営業運転を開始した区間(北千住―久喜間)の終着駅でもある。
色川駅長に、改めて久喜ってどんな駅ですか? と尋ねてみた。 「北千住をぐっと小さくしたイメージです。乗り換えのターミナルでお客さまも多くて、構内にもお店がある。規模はまったく違うんですけど、なんとなく似ているなと思います」(色川駅長) 小さな北千住と、懐かしさのある小駅。この組み合わせの久喜・鷲宮コンビ。都心からおよそ1時間。わざわざ足を運ぶ価値は、ありそうだ。
鼠入 昌史 :ライター