リスクが高い? 10代で欧州移籍した日本人選手(3)Jクラブの“最高傑作”でも苦戦…。夢の挑戦はわずか1年で
今夏、19歳の塩貝健人が横浜F・マリノスへの加入内定を解除してオランダのNECナイメヘンヘに移籍することが発表された。これまでも10代で欧州に旅立った日本人選手は多くいたが、その後のキャリアはどうだったのか。今回は、過去に10代で欧州に移籍した主な日本人選手を紹介する。※成績は『transfermarkt』を参照
FW:宇佐美貴史(うさみ・たかし) 生年月日:1992年5月6日 移籍時期:2011年6月(19歳) 移籍:ガンバ大阪→バイエルン・ミュンヘン(ドイツ) ガンバ大阪ユースが生んだ“最高傑作”。2008年11月にJリーグ史上初となる高校2年生でのトップチーム飛び級昇格が決定した際、宇佐美貴史は周囲からそう形容されていた。 2011年6月には、さらに世間を驚かせる出来事が起こる。ブンデスリーガ(ドイツ1部)のバイエルン・ミュンヘンが、完全移籍のオプション付きとなる1年間の期限付き移籍で宇佐美を獲得したのだ。19歳の日本人選手が世界的な名門に加入するという事実は、当時多くのファンを熱狂させた。 しかし、夢を抱いてドイツに渡った若武者は大きな壁に弾き返された。当時のバイエルン・ミュンヘンにはフランク・リベリーやアリエン・ロッベンといった超一流選手が在籍しており、経験の浅い宇佐美がポジション争いに割って入るのは容易なことではなかった。結局、2011/12シーズンは公式戦5試合の出場に留まり(1得点0アシスト)、クラブが完全移籍のオプションを行使しなかったために1シーズン限りでの退団が決定した。 10代でハイレベルな環境に身を置くことができた宇佐美だったが、当時のバイエルン・ミュンヘンはあまりに“ハイレベルすぎた”のかもしれない。伸び盛りの19歳には、何よりも出場機会が必要だった。 バイエルン・ミュンヘン退団後、宇佐美はホッフェンハイムやアウクスブルク、デュッセルドルフを渡り歩き、現在は古巣のG大阪でプレー。2023シーズンからはキャプテンに就任し、レジェンドの遠藤保仁が使用していた背番号「7」を継承した。ドイツの地で挫折を味わった男は、ユースから在籍した“心のクラブ”を力強くけん引している。
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