【身近な食材だけの簡単「薬膳」で不調を改善!①】疲れたときのとっておき「超簡単 参鶏湯(サムゲタン)」
薬膳と聞くと特別な食材を使う、少し難しいイメージがある。でも、身近な食材だけでも十分に作ることができるそう。私たちが日常的に食べている食材を、季節や体調を考慮して組み合わせるだけでOK。そんな、毎日続けられる簡単薬膳レシピを、薬膳料理研究家の谷口ももよさんに伺った。
毎日の食事で不調は改善する!
「私が薬膳を始めたのは、自分が体調をくずしたことからでした。もともと不整脈があり心臓にも不安を持っていましたが、当時ちょうど、二人目の子どもを出産したあとで、めまいが続き、治療法も見いだせないでいました。そんなときに出合ったのが薬膳でした。 もともと、料理は好きだったので、毎日食べている身近な食材で体調が整えられると知り、これなら実践できると思ったのです」(谷口ももよさん) 薬膳とは中国伝統の医学である「中医学」の理論に基づいた食養生だ。薬膳と聞くと、普段使わない特別な食材を使うイメージで、少しハードルが高いと思われがちだが、家庭でできる薬膳は思いやりの料理。その日の体調や気候を考慮して、身近な食材をいかに組み合わせるかを考えて作るものだ。 「東洋医学の考え方では、陰陽のバランスのよいことが体調のよさを示し、体調が悪いのは体を巡る『気・血・水』の3つのバランスがくずれることが原因と考えます。なんとなく気が重いのは気の巡りが滞っている状態=『気滞(きたい)』、貧血ぎみなら血の不足=『血虚(けっきょ)』、むくみやすい場合は水の代謝不調=『水滞(すいたい)』といった具合です。 すべての食材には、体を温めたり冷やす効果があり、こうした『気・血・水』を整える働きがあります。その食材の特徴を知っておくと、季節による体調不良や、自分や家族のプチ不調を考慮した食事を作ることができます」
疲れたときの滋養強壮に「超簡単 参鶏湯(サムゲタン)」
「参鶏湯は韓国の伝統的な家庭料理。風邪をひいたり、疲れや冷えを感じたとき、夏の暑さや冬の寒さをしのぐために一年中食べられています。本場では丸ごとの鶏肉に高麗人参やなつめ、香味野菜、もち米などを入れて煮込みます。 丸ごとの鶏肉や高麗人参となると、食材を調達するのが難しくなりますが、今回紹介する『超簡単 参鶏湯』は鶏の手羽元と干ししいたけ、なつめを一緒に煮込むだけ! たったこれだけで、食材から出るだしの旨味と少量の塩味で、十分に滋味深いおいしい料理になります。 鶏肉や干ししいたけ、なつめは疲労回復効果が高く、冷房と夏の熱気の温度差などで生じた寒暖差疲労にもよく、体の中からじんわりと整えてくれます」