いち早く実用化! F-2戦闘機の必須装備「AESA」って何? じつは空戦を変えた超重要なヤツ
航空自衛隊のF-2戦闘機でも採用
加えて、F/A-18F「スーパーホーネット」やF-15E「ストライクイーグル」など2人乗りの戦闘機では、前席の操縦士が空対空レーダーモードで空中を警戒しながら、後席の兵装システム士官が空対地レーダーモードで地上目標をターゲットするといった、空対空戦闘と地上攻撃を同時に実行できるようにもなりました。 また、フェイズドアレイレーダーのアンテナ面を機械走査レーダーのように可動式とすることで、索敵範囲を約2倍近くに拡大する機体もいくつか現れており、スウェーデン製の「グリペンE/F」やロシア製のSu-35は200度という後方を除いたほぼ半球をカバーできるようにまでなっています。これにより、ミサイル発射後離脱しながら誘導を継続するという戦術も可能なようです。 このように、フェイズドアレイレーダーは、従来の機械走査式レーダーに比べて戦闘機の能力を大幅に拡張できることから、戦闘機にとって不可欠な技術になりつつあるといっても過言ではありません。現在生産されている戦闘機のほとんどがフェイズドアレイレーダーを搭載しており、また機械走査式レーダーを搭載した従来型の機体もフェイズドアレイレーダーへ載せ替える近代化改修が行われています。 航空自衛隊が運用する航空機では、F-2が初の搭載例ですが、これは世界で2番目のフェイズドアレイレーダーを搭載した戦闘機になります。またF-35「ライトニングII」もフェイズドアレイレーダーを使用しており、F-15J「イーグル」に対して行われる近代改修でも、機械走査式レーダーからフェイズドアレイレーダーへの置き換えが行われる予定です。 戦闘機にとって必須のアビオニクスとなりつつあるフェイズドアレイレーダー、それ以外の航空機にも普及しつつあります。
関 賢太郎(航空軍事評論家)