パラリンピックのメダリストも参加するハンドドライブ講習会とは?「夏のトレーニングにも有効かも」高速での空間認知能力を鍛えるのにバッチリです
キネティックシートの進化はいかに?
今回も「キネティックシート」の開発車両が持ち込まれましたが、これは人の骨格の動きに合わせて座面と背もたれが、骨盤と背骨の運動軸周りにそれぞれ動くことで、頭部の揺れを抑え、身体への負担を軽減できるもの。現在も開発が続けられており、今回もこのHDRSの場で実際にフィードバックを得たいということでの参加となりました。 一般道で下肢障がいを持つ方がハンドルにしがみつかなくていいというコンセプトのシートであることから、サーキットでの使用ということ自体、コンセプトが異なるわけですが、それでもポジティブな意見があったのも事実で、今回は少しサーキット走行を意識した小変更を行ったシートを持ち込んだようです。
初のサーキット体験となった中垣さん
今回参加した中垣良則さんは、8年前のバイク事故で脊椎を損傷。現在はみぞおちから下の完全マヒとなっています。中垣さん自身は4輪でのサーキット走行経験はほぼないのですが、トヨタの関連会社に在籍していることから、このキネティックシートについてはすでに開発の初期段階から体験をさせてもらっていて今回が3回目、そして初のサーキット体験とのことでした。 「以前は公道のスピード領域での使用を想定していたこともありますが、体幹の無い私でもリラックスして運転ができ、サポートも効いていて長距離移動が楽だなというイメージがありました。でも今回のサーキットでの走行となると、急カーブで身体が持っていかれるという状況になります。日常使用とは違う使い方になりますが、キネティックシートもバージョンアップしている感じで、以前は腰の動きが抑えられていたものが今度は脇からサポートされている感じで、横Gが入っても踏ん張りが効いていて、以前乗った時よりも格段に保持してくれる感じが上がっていて、疲れ知らずで楽しめた感じですね。緊急時の対処では身体が持っていかれて正しい操作ができなくなるということが防げますし、安全に繋がります。早く商品化されるのを期待したいですね」 HDRS、次回は2024年9月30日(月)に同じく千葉県・袖ヶ浦フォレストレースウェイで開催予定です。障がいを持っていなくても健常者でも参加が可能で、クルマを持ち込まなくてもレンタルも可能。また同乗走行だけ体験したい方でも大丈夫。ハンドドライブユニットの世界を体験してみるのもいかがでしょうか。
青山義明(AOYAMA Yoshiaki)