井上尚弥が「やらせて下さい」と来春米国での3団体統一戦を直訴したカシメロは5年前の因縁の相手だった
実は、カシメロと井上には因縁があった。 大橋会長が言う。 「尚弥の最初の世界挑戦はカシメロで決まっていた。両陣営ともOKだったが、IBFが試合経験が足りないと認めてくれなかったんだ。その経緯があって昔から見ている選手。因縁がある。カシメロは、その尚弥とやるはずだった試合でウエイトオーバーをしていたので、もし無理にやって、そんなことになっていたら大変だったけどね」 井上が2014年に世界初挑戦を狙ったとき最初のターゲットが当時、IBF世界ライトフライ級王者だったカシメロだったのだ。IBFが、安全のため10戦以上のプロ戦歴のないボクサーの世界挑戦を認めていなかったため流れ、WBCのベルトに照準を変更することになったが、その後、互いに階級も立場も変わり、あれから5年目に邂逅することになったのである。 「すんなり決まるかわからないが、わかりやすい試合になるね。本人も、そういう相手と戦いたいだろうから」と大橋会長。 大橋陣営にアポイントメントはないが、今日3日から東京で始まるWBO総会に合わせて、カシメロが所属するMP(マニー・パッキャオ)プロモーションのショーン・ギボンズ代表が来日する予定。トップランク社を交えた直接交渉で一気に話が進展する可能性も大だ。 実現するとすれば、来春の米国ラスベガスのリングとなる。 ドネアの左フックを被弾して負った井上の右目の眼窩底骨折の回復状況次第だが、12月半ばに再検診を行う予定で井上自身は、「目の治り方次第では春にはやりたい。春といっても3月下旬から4月、5月も春でしょうが(笑)」と早期実現を切望している。 「4日から練習を再開します。軽く動くくらいやります」 井上は目を輝かせ自らそう明かした。 米国の権威あるボクシング専門誌「リング」によると、直接交渉のため来日する予定のカシメロ陣営のギボンズ代表は、「金が欲しいから井上戦の話をしているのではなくカシメロが凄いからだ。この男が井上をノックアウトすることに私の家を賭けてもいい」と挑発。テテ対策にフック、アッパーを練習してきたが、「井上のスタイルの方がビッグショットを打つのは簡単だ」とも豪語した。 さらに「トップランクのボブ・アラム氏が”モンスター。バンタムで最高の選手”と言っている井上だが、カシメロの方が、そのWBSSに出場していた、どのボクサーよりもモンスターなのだ」とも語ったカシメロ陣営のトップ。早くも火花がバチバチ。井上のカシメロとの3団体統一戦の正式決定が待ち遠しくなってきた。