映画【推しの子】を“売れっ子のMV監督”が撮る狙い。ドラマ版の監督は若手起用!プロデューサーが語る理由
そこは明確な狙いがありました。私は原作を読んだときに音楽が流れるような印象を受けたので、やはりミュージックビデオをしっかりと手がけてきた方にお願いしたいなと。 音楽が映像に与える付加価値というのはとても大きいです。だからこそ、劇中でミュージックビデオのシーンが必要なときは、松本監督には「ミュージックビデオを本当に撮ってください」という形でお願いをしましたし、スミス監督には、ライブ映像のスタッフが撮ってる映像も素材として使いたいので、「ライブ映像もしっかりと撮ってください」とお願いしました。
1つの本編としてだけではなく、複合的な狙いや仕掛けを楽しんで、一緒に物づくりができる方ということでお2人にオファーしたということです。 たとえば1話でアイのライブシーンを描いていますが、ドラマや映画監督が普通に撮ると、普通のドラマ・映画っぽくなってしまう。あの映像はライブ撮影を経験してる方じゃないと撮れません。 スミス監督だからこそ、撮れた映像だと思っています。今回はスミス監督が蓄積してきたものを存分に発揮していただきました。
一方で松本監督は、若い世代の子たちと近い年齢なので、「恋愛リアリティショー」を撮るときにどういった感覚で見ているのか興味がありました。そのリアルさを表現してほしかったので、松本監督にお願いしました。 ■リアルなライブ映像へのこだわり ――たしかにライブ映像も通常の映画とは違う臨場感があったのですが、このあたりはどのように撮影したのでしょうか? カメラマンも含めて、スタッフはどちらかというとMVやCMを主戦場としているチームだったり、ライブ映像を撮っている方たちが多かったからだと思われます。ノウハウがあるんです。
例えばアイのライブ映像はカメラを10台以上回しています。撮影の奥平功さんを中心に、ライブチームをしっかり組むことができました。今回はそれが非常に大きかったです。 照明の渡邊良平さんも奥平さんとよく組んでいる方なので、どういうふうなライティングをすればライブ映像の輝きになるかということをよく理解されている。あれはなかなか普通のドラマや映画の経験だけでは培われない能力だったと察しました。 そういうことを熟知しているチームだったからこそ、どこにどういう人員やカメラを配置すればいいのか、ということがわかる。だからこそリアルに表現できたと思います。