神戸で生まれた歌「満月の夕」、震災知らない若者に響く…ガガガSP、あいみょんら歌い継ぐ
被災地を中心に広まり、カバーする歌手も現れた。神戸を拠点にするパンクバンド「ガガガSP」のコザック前田さん(45)もそのひとりだ。 中学3年のとき、神戸市須磨区の自宅で被災。倒壊は免れたが家具が散乱し、避難所に身を寄せた。97年にバンドを結成。2003年のフリーライブで、「満 月の夕」を1万人の前で演奏した。会場は、この曲が生まれた南駒栄公園だった。 前田さんは「被災した自分たちが歌ったことで、さらにリアリティーが増したのかなと思う。震災の記憶や教訓を残していければ」と語る。 兵庫県西宮市出身で、シンガー・ソングライターのあいみょんさんも過去にX(旧ツイッター)で「満月の夕は私の大好きな曲、この曲はあの日から 沢山たくさん の人の物語にもなってると思う」と投稿し、配信で弾き語りを披露した。
思いは若い世代に受け継がれている。 関西学院大の5人でつくるアカペラグループ「うたかるた」(現・いろはうたかるた)は昨年1月17日、東遊園地(神戸市中央区)で「満月の夕」を歌った。 メンバーの高田育実さん(21)が父から教わったのがきっかけ。当初は震災後の生まれで、歌うことに後ろめたさを感じていた。 年配の聴衆から「若い人が歌ってくれてありがとう」と声をかけてもらい、「震災をもっと知り、『忘れていないよ』と伝えていこう」と思った。1月18日、中央区文化センター(同)でのイベント「歌で語り継ぐ震災」でも披露する。
中川さんは、東日本大震災の被災地でも歌ってきた。今年は1月17日、長田区のJR新長田駅前でフリーライブを行い、披露する。歌うたびに被災地で会った人の顔が浮かぶという。「それぞれが、この歌を聞いて喜んだり泣いたりして、次のステップに進んでいく。音楽をやっていてよかったなと思います」