パリオリンピック女子バレー ブラジル戦完敗の現場で古賀紗理那は感情を抑えるように語った
スタッフがユニフォームのままの古賀の肩に、そっと上着を乗せた。彼女がそれに小さな声で礼を言う。取材エリアはコートよりも冷えていた。質疑応答は長くは続かなかった。 最後に眞鍋政義監督が取材エリアに現れた。 「ブラジルの集中力がすごくて、我々のサーブではまるで崩れませんでした。(ネーションズリーグと)反対の結果ですね」 眞鍋監督は、「集中力」という言葉でブラジルの強さを表現し、「身長が低い」という言葉も何度か使った。 「我々(の選手たち)は身長が低いものですから、サーブで崩し、ブロック、もしくはディフェンスを上げていかないと、どこと試合するのも苦しいです。(勝利した)ネーションズリーグとはまったく違いますね。ブラジルの"オリンピックの執念"はすごいというのは毎回、感じます。ただ、いいところも出ましたので、(予選)最終戦はどうなるかわかりませんですが、今まで練習してきたことを出したいです」 連敗のショックがずしりとのしかかる。なかなか光明を見出せない状況だった。4年に1度の戦いに、彼女たちはすべてを懸けてきたのだ。 8月3日、日本は準々決勝進出をかけ、ケニアとの一戦に挑む。勝利が最低条件で、セット数で順位づけされる(各グループの1、2位と、3位のうち上位2チームが準々決勝へ進出)。自力での突破はなくなったが、一縷の望みにかける。
小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki