川崎F山田新が3戦連続2ゴールの快挙!! 驚異のヘディング決定力を生み出す居残り練習と徹底分析「身体の動き、インパクトの瞬間、重心の持って行き方を…」
[8.11 J1第26節 FC東京 0-3 川崎F 味スタ] 試合序盤は劣勢に回った川崎フロンターレだったが、覚醒する新エースがたった2つのチャンスで勝負を決めた。2つの決定機を決め切ったFW山田新はJ1リーグ史上9人目、日本人では3人目となる驚異の3試合連続2ゴール。その6点中4点は戸田光洋コーチとの居残り練習で磨き上げてきたというヘディングから生み出した。 【写真】「可愛すぎて悶絶」「金メダル」「新しいジャケ写かと」大物歌手が日本代表ユニ姿を披露 この日はヘディングのパターンも多彩だった。前半15分の先制点は、ペナルティエリア左を切り裂いたFWマルシーニョからのふわりとしたクロスに対し、戻りながら上半身を大きく振るパワフルなヘッドで沈めた形。一方で同20分の追加点は、右サイドを駆け上がったDFファンウェルメスケルケン際からの鋭いクロスに対し、ボールに頭をかすかに当てて軌道を変えるテクニカルな形で決めた。 同じヘディングといえど、クロスの出所も違えば球質も違う。またシュートのモーションも軌道も大きく異なる2つのゴールだった。いずれも簡単ではないシチュエーションと言えるものだが、そのパターンの多彩さも山田の努力の賜物だった。 鬼木達監督は試合後、山田の2ゴールを「いつも最後まで残ってヘディングの練習をしている。戸田コーチと積み重ねているところが出た。努力が報われるのは監督の立場としても嬉しく思う」と評した。 山田によると、その居残り練習は単にヘディングシュートの数をこなすというだけでなく、国内外のストライカーを徹底的に分析した上で取り組みを進めてきたのだという。 「左右で全身を連動させてヘディングすることを意識していて、戸田コーチと一緒に世界のストライカー、Jリーグのストライカーの映像を見て、どういう形で決めているか、身体の動きだったり、インパクトの瞬間だったり、身体の重心の持っていき方をいろいろと見ながらトレーニングをやっていて、それがうまく出たと思います」(山田) 山田がその模範例に挙げたのは近年のJリーグで結果を残してきた大迫勇也(神戸)、レオ・セアラ(C大阪)、アンデスソン・ロペス(横浜FM)、大橋祐紀(広島→ブラックバーン)に加え、決して出場試合数こそ多くはないがゴール前の仕事に強みを持つピエロス・ソティリウ(広島)の名前。それぞれヘディングのスタイルを持つFWたちの映像を「スローで見たりしながら学んできた」と明かした。 とはいえ日々、タフなリーグ戦が続いている中、そうした努力を続けるのは決して容易ではない。だが、プロ2年目が後半戦に差し掛かろうとしている山田は「試合が続くハードな中だけど、自分が2年間プロでやってきて、試合をやりながらでも居残り練習で成長できていると感じられていた」とその姿勢を継続。その取り組みが実り、バフェティンビ・ゴミス、エリソン、小林悠らが並ぶポジション争いをリードする存在となったようだ。 「FWはたくさんいるし、素晴らしい選手がたくさんいる中、いろんな選手からいろんなことを学びながら、それを楽しみながら競争できている。スーパーな選手はいるけど、自分が能力的に負けているとは思わない。いろんなところで彼らが優れているところもあるし、自分も優れているところもある別の選手なので、しっかり監督が求めることをやりながら数字が出せれば試合に出られるし、信頼を得られると思うので、そこをやり続けるだけかなと思う」(山田) その継続姿勢はJ1リーグ史上9人目、日本人では3人目となる3試合連続複数得点という快挙の中でも変わらない。試合後の取材では報道陣から記録を紹介され、「意外といますね」と含み笑いでサラリ。「嬉しいけど一人になりたいなと。3人だと。自分だけのものがあればいいなと思います」と言い切り、今季11ゴール目での2桁得点達成にも「一つの目標ではあったのでそこに乗せたことは自信になる。ただそこは通過点ではあると思うので、しっかりと取り続けたいなと思う」と冷静だった。 その目線の先にはさらに大きな目標も描いている。「もちろん日本代表でW杯に出たい思いがある」。現在の日本代表は欧州CL経験を持つ上田綺世(フェイエノールト)を始め、小川航基(NECナイメヘン)、細谷真大(柏)ら個性豊かな本格派ストライカーがひしめき合うハイレベルな舞台。「そのためにはJリーグで結果を残さないといけない。やれることをやっていれば見てくれていると思うのでしっかり取り続けたい」と決意を胸に、夏場の連戦を突き進む構えだ。