デビュー戦は、大失敗で「0点」… 飛込・玉井陸斗 五輪メダルへの“知られざる物語”
試合後、私はおそるおそる「1本目失敗しちゃったけど、悲しくならなかった?」と訊いた。玉井の目に、涙があふれ出した。「悔しくて、もう一度、やり直したかったです・・・」なんとか言葉を絞り出し、大粒の涙が流れた。玉井のデビューが「0点」で始まったことは、世間にはほとんど知られていない。一番最初の「悔し涙」が玉井陸斗の「夢への始まり」だった。
得意技「5255B」で、日本史上初の五輪メダルへ!
その後、玉井は史上最年少13歳で日本選手権に優勝。2022年、ブダペスト世界水泳では銀メダルを獲得。得意技の5255B(後ろ宙返り2回半2回半ひねりエビ型)は、水しぶきが立たない「ノースプラッシュ」で高得点をたたき出す。飛込界の期待を背負う17歳は、パリ五輪で日本飛込史上初の五輪メダルをつかみに行く。力を出し切れなかった試合や、腰の痛みに耐えた2023年福岡世界水泳では「悔し涙」を流したこともあるが、私は、まだ、玉井の「うれし涙」を見たことがない。パリ五輪で、玉井の目にあふれる「歓喜の涙」をぜひ見たい。 (朝日放送テレビ 東野 裕)