「頭痛を甘く見るな」危険な“警告頭痛”の4大特徴 致死率40%、怖い「くも膜下出血」の前触れを専門医が解説
音楽グループglobeのボーカルKEIKOさんも患った「くも膜下出血」。致死率40%の怖い病気だ。 発症すると、「突然バットで殴られたような激烈な頭痛」に襲われるといわれているが、実際は必ずしもそうとは限らず、約20~30%は「我慢できる程度の頭痛」で始まるらしい。 くも膜下出血で命を落とさないために、見逃してはいけない頭痛の兆候や、医療機関のかかり方、そして受診時に「やってはいけないこと」などについて、脳神経外科医の金中直輔医師(かねなか脳神経外科院長)に聞いた。 【写真で見る】術中の脳の様子。中央下にある丸っこいものが「脳動脈瘤」
■昼食後にコーヒーを飲んだ瞬間… 職場で同僚と話しながら昼食を食べていた会社員Aさん。 食後のコーヒーを一口飲んだ瞬間、後頭部に痛みが走った。経験したことのない痛さだったが、1時間ほど安静にしていると消失したので、そのまま帰宅。翌日、シャワーを浴びている途中に再び痛みが起こり、近くの脳神経外科クリニックを受診したところ、くも膜下出血だった――。 これは、「我慢できる程度の頭痛」で始まるくも膜下出血の典型例だ。
脳は、外側から硬膜・くも膜・軟膜と呼ばれる3つの膜で包まれている。くも膜下出血は、このうちのくも膜と軟膜の隙間「くも膜下腔(くう)」に出血が起こることをいう。 原因の約80%は「脳動脈瘤(りゅう)」といわれる血管のふくらみ。血圧の上昇などにより、この瘤が破裂することで発症する。 ■20~30%は一過性の頭痛で始まる 金中院長は言う。 「くも膜下出血についてネットなどで調べると、『激烈な頭痛の後、意識を失い、そのまま亡くなる』という書き方をしている記事が多い。しかし、20~30%の人はAさんのような症状で始まることがわかっています」
これを「外来に歩いてやってくるくも膜下出血の患者」という意味で、専門医の間では、「walk-in SAH(歩いてくるくも膜下出血、SAHはくも膜下出血の略)」と呼んでいるそうだ。 本稿では、この「ウォークインくも膜下出血」について話を進めよう。 金中医師によれば、ウォークインくも膜下出血の頭痛は、脳動脈瘤からの出血が少量だった場合に起こる。この頭痛を「警告頭痛」と呼ぶこともある。 一般的に、くも膜下出血を起こすと、血液がくも膜下腔にたまり、その圧で髄膜が刺激されたり、頭蓋(ずがい)内圧が上昇したりすることで、頭痛や吐き気、意識障害をきたしたりする。