イチロー氏の名電時代にコーチだった倉野監督 電撃訪問に「私自身も半信半疑」「彼らにとって野球の神様」
マリナーズ会長付特別補佐兼インストラクターのイチロー氏(51)が18日に母校・愛工大名電をサプライズ訪問。2020年の智弁和歌山に始まり、今月の大阪・大冠、岐阜と5年連続計10校の高校野球部を訪れ臨時指導を行ってきたが、この日はOBとして同校を訪れた。 【写真】愛工大名電高野球部を指導するイチロー氏 目の前に現れたのは伝説の大先輩だった。後輩たちの驚きの声と大きな拍手に迎えられたイチロー氏。教え子たちの緊張した表情、目を丸くして驚く表情に、伝説のOBが現役時代にコーチを務めていたという同校・倉野光生監督(66)は「私自身も今日の直前まで本当の本当に来てくれるのか、どうか半信半疑のぐらいだったから」と笑った。 約4時間、ウオーミングアップからキャッチボール、走塁の実演、そして打撃指導と実際のバッティング姿を後輩たちに披露したイチロー氏について指揮官は「ひと言、ひと言、かなり選手には新鮮という言葉じゃないよな、彼らにとっては野球の神様みたいなものだから…その今まで逸話とか映像とかいろんなものを聞いたり、見たけど、生で見れるというのは練習が始まる直前までひと言も言っていなかったので、グラウンドにきて、びっくりしたんじゃない」とニヤリ。「ランニングを見て、あの姿だけで圧倒されちゃったね。あのスタート時点でランニングで、あの動きを見て、違いを。うちの選手、普段はもっとうまいんだし、高校生ではレベルが高いけど、イチローが入ることによって、『お前たち、何でこんなに下手(へた)なの?』って(笑い)。基準があまりに違いすぎて、あらゆることに圧倒されてしまった。技術もそうだけど、データとか今までのものと違うものをああやって注入してもらって、選手にも凄く響くものがあったと思う」と今回のサプライズの意義を楽しそうに語った。 成績について、データを重視し過ぎる現代野球に、そして部内の“ため口OK”のあり方に、愛情を持って厳しい言葉を後輩たちに伝えたイチロー氏。「本当に母校でこうして教えてもらえることが、私たちも念願だったけど、多分、イチローくん自身もそうだったと思う。(一緒に動いてくれる)これはやっぱり、言葉だけでは駄目で、実際にバッティングを見て、凄いな、ランニングを見て凄いな、というのが彼らに訴えるものが相当、大きなものになるよね。(途中で何歳だっけ?と)そう。年、51だったっけ?ってびっくりする。まだまだ衰えない、というかね。よく維持できる。びっくりする。探究心と努力だと思うしね。ずっと、現役が終わってからも、生涯現役をしたいという、引退する直前まで言っていて、突然、引退したでしょう。あの、直前の時も生涯現役だ、とずっと言い続けていて、突然、東京ドームで引退で…あの時も僕たち、びっくりした。そのまま引退していないよね。引退していない。本人もそのまままだ“イチロー”という選手を継続しているよな。ボールを見る鋭さ、タイミングとか…その違い、進化ぶりを確かめたかったし。タイミングの取り方とか、バットの出し方、当然パワーアップしているけど、高校時代のことをちょっと思い出しながらね。元がそのまま感じたね。(面影?)ある、ある」と懐かしそうにOB「世界のイチロー」の名電時代を振り返りながら、在校生への影響力の大きさに感謝の思いを熱弁した。 選手たちだけでなく「18年前に一回、堂上直倫が中日に指名されて、一緒にイチロー君の自宅に、あいさつに。“ドラフト指名されました”って。その時以来」という再会に、倉野監督も胸を躍らせた一日。「また来るかもしれません」と後輩たちに伝えて引き揚げたイチロー氏に「是非、是非、と。(イチロー氏が)『僕ちょっと、厳しかったですかね?』って、そんなことない、その通りって。直接、生で見れたというのが大きい」と“再会の約束”を明かした。