ソニーが買収視野に協議、KADOKAWA株がストップ高…ゲームやアニメのコンテンツ充実
ソニーグループが出版大手KADOKAWAの買収も視野に検討していることが19日、明らかになった。エンターテインメント事業を成長の柱に据えるソニーが、アニメやゲームなどのコンテンツ(情報内容)を豊富に持つKADOKAWAを傘下に収めることで、収益力を高める狙いとみられる。
関係者によると、交渉は初期段階とみられる。ロイター通信は同日、交渉が成立すれば両社は数週間以内に契約に至る可能性があると報じた。
東京株式市場では、この日の取引時間中に買収報道が伝わると、KADOKAWAの株価は値幅制限の上限(ストップ高)となり、前日終値比23%高の3745円で取引を終えた。
ソニーグループは、ゲームや映画、音楽などエンタメ関連企業への投資やM&A(企業の買収・合併)を強化し、関連する知的財産(IP)の獲得を急いでいる。一方、KADOKAWAはグループでゲームやアニメといった多様なIPを持つ。
東洋証券の安田秀樹シニアアナリストは「ソニーグループがKADOKAWAのコンテンツを取得できれば、電子配信を通じて安定的な収益を得られるようになる」と指摘する。
ソニーグループは2021年、KADOKAWAの第三者割当増資に応じる形で資本提携し、現在株式の約2%を保有。22年にはKADOKAWA子会社で人気ゲーム「エルデンリング」を開発したフロム・ソフトウェアに子会社を通じて約14%を出資するなど、両社は関係を強化している。
KADOKAWAの19日時点の株式時価総額は約5300億円。ソニーグループは24年度から3年間の中期経営計画で、成長に向けた「戦略投資枠」として自社株買いを含め1・8兆円を設定している。