ライアン・ムーア騎手を背に追い切りを終えたチャリン。右は話を聞くロジャー・ヴェリアン調教師

　チャリンを管理するヴェリアン師は11年の厩舎開業までマイケル・ジャーヴィス厩舎で調教助手を務めた。89年ジャパンCに出走（14着）した凱旋門賞馬キャロルハウス、01年英1000ギニー覇者アミーラット、05年英オークス覇者エスワラーなど数多くの活躍馬を送り出した名門。 　そこでヴェリアン師は03年英チャンピオンS、04年クイーンエリザベス2世Sを含むG1・6勝を挙げた名馬ラクティに携わった。ヴェリアン師は「ラクティは能力が高かった。ただ、少し興奮しやすい面があった」と特徴を伝えつつ、「その点で言うとチャリンは非常に強い精神面を持っていて、常にリラックスしている。そこに違いがあると思う」と両馬を比較した。 　振り返れば、ラクティは04年マイルCSに出走。欧州での実績が評価され3番人気に支持されたが致命的な出遅れ。道中は我慢が利かず、不完全燃焼の14着に敗れた。チャリンは本能のままに走るのが魅力的だったラクティとは真逆の優等生。20年前と違った結果が待っている。 　≪妻は園部花子さん　ダーレーJ元取締役≫ヴェリアン師の妻はダーレー・ジャパン取締役だった園部花子さん。追い切り後の共同会見で夫は第一声、「おはようございます」と流ちょうな日本語で報道陣を和ませた。結婚の翌年に厩舎を開業。「日本人の女性と結婚し、ほぼ同じタイミングで調教師としてのキャリアをスタートさせた。日本の文化には強く関心がある」と明かした。日本競馬が大好きで、何度も競馬場に足を運んでいる親日家。熱い思いで大一番に挑む。 　◇ロジャー・ヴェリアン　1979年3月14日生まれ、英国のオックスフォードシャー出身の45歳。調教師としてルーキーイヤーの11年に獲得賞金順の英リーディングで23位といきなり頭角を現し、14年に7位に入ると翌年を除いて毎年トップ10入り。世界各国でG1・28勝。今年は英国で477戦76勝（11日現在）、獲得賞金346万7268ポンド（約6億2341万円）でリーディング8位。日本での管理馬出走はスリプトラの12年ジャパンC17着以来、2度目。妻はダーレー・ジャパン元取締役の園部花子さん。