バルニエ仏首相、ルペン氏に予算案で土壇場の譲歩
(ブルームバーグ): フランス政府は、不信任案可決による内閣崩壊を回避すべく、極右のマリーヌ・ルペン氏に対し、2025年度予算案で土壇場の譲歩案を提示した。
バルニエ首相は2日にルペン氏と協議した後、極右政党、国民連合(RN)の重要な要求を受け入れ、薬代の償還金を削減しないことを確約した。
譲歩は、議会で過半数の支持を持たないバルニエ首相が予算案を軌道に乗せ政府を維持するための最後の手段だ。憲法第49条3項に基づき採決なしで社会保障法案を議会通過させる方法もあるが、それは不信任決議案の提出につながる。
国民議会(下院)で最大勢力である国民連合は2日、「奇跡的な」妥協案が提示されない限り、政府を倒すと表明した。バルニエ氏が譲歩案を提示した後、党関係者は直ちにコメントを発表しなかった。
仏極右の国民連合党首、「奇跡」起きない限りバルニエ内閣倒す
不確実性と瀬戸際戦略を投資家が嫌気し、フランス国債利回りは先週一時ギリシャと同水準に上昇した。
フランス、10年物国債利回りがギリシャと同等に-予算案巡る懸念
バルニエ氏が薬代の償還に関する最新譲歩案を提示したことで、フランス資産は回復。 10年物フランス国債とドイツ国債のスプレッドは、前週末比で約1ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上昇の82bpとなった。この日は一時87bpまで拡大していた。フランス株も上昇に転じ、一時の1.2%の下落を取り戻した。
国民連合の議員らは、どのような行動を取るかを決定するため現地時間午後2時から会合を開いた。
同党は、バルニエ氏が社会保障法案に盛り込んだ年金のインフレ指数への連動を抑制する措置に依然として反対している。
「後退しているような印象を受ける」と、国民連合のロール・ラバレット議員はLCIテレビの番組で語った。「バルニエ氏がどこに針を合わせるのか、正確に知るのは難しい」と述べた。
議会は午後3時に招集される予定。国民連合が不信任案の採決で棄権するだけでもバルニエ氏の政府を救うのに十分だが、ルペン氏はここ数週間、政府が同党の要求を考慮していないと不満を募らせている。