暗号資産をアセットクラスに変える、3つの方法
Decentral Park Capitalのポートフォリオマネージャー、ケリー・イェ(Kelly Ye)氏と、CoinDesk Indicesのプロダクト責任者、アンディ・ベア(Andy Baehr)氏が、米大統領選を終えた今、暗号資産の資本市場と投資環境を整えるうえで重要なステップについて、それぞれアクティブ運用者、インデックス提供者の観点から意見を交換した。 ● アンディ:大統領選が終わり、共和党が主導する上院も手に入れて、トランプ氏がホワイトハウスに返り咲くことになった。ビットコイン(BTC)はすでに史上最高値を更新している。だが、暗号資産を完全に機能する資産クラスに変える魔法の杖などないことはわかっている。どうすれば、実現できるだろうか。 ケリー:3つに分けて考えてみよう。1)プロジェクトの存在および資本調達を可能にする規制インフラ、2)投資家と資本市場を結びつける投資インフラ、3)大口、小口などさまざまな投資家向けの投資フレームワーク。
米国の重要性
アンディ:なるほど、考えることはたくさんある! 今日はまず1つ目の規制インフラについて話そう。暗号資産は分散型であるべきだとすると、なぜ米国がそれほど重要なのだろう? ケリー:暗号資産は本質的に分散型だが、ユーザーと投資家は世界中におり、米国には資本が集中し、ビジネス環境も良好なため、米国は依然として重要な存在だ。グローバルに見ても、投資家は米国をテクノロジーとイノベーションのハブとして認識している。政府が支援的な立場を取れば、この状況はさらに強化され、業界にもメリットとなる。長期的には、ブロックチェーンが分散型トラストとガバナンスを促進することで、社会は国家単位ではなく、共通の利益によって組織化されるようになり、伝統的な境界を越えるかもしれない。 アンディ:資本市場の側面、つまり投資家資本へのアクセスを必要とする新規プロジェクトについては、私も同意見だ。米国のレンダー(貸し手)や投資家の参加なしに構築することは難しい。だが、グローバル市場の側面、つまりトレーディング、デリバティブ、ヘッジファンド向けサービスについては、明らかな制約があることを考えると、暗号資産はかなり順調に進展していると思う。人材が豊富で、イノベーションの歴史を持つロンドン、チューリッヒ、シンガポール、香港などの都市における金融エンジニアリングは活発だ。米国は(今考えると、驚くことに)ビットコインとイーサリアムの先物ETF、現物ETFを立ち上げ、まもなくETFオプションもスタートさせるが、深さ、広がり、イノベーションを求めるなら、海外に目を向ける必要がある。 ケリー:主なハードルは、暗号資産が証券またはコモディティとして適格かについての規制の明確さの欠如。現在、明確な分類が行われているのはビットコインのみであり、その他の暗号資産は未登録証券と見なされるリスクがある。SEC(米証券取引委員会)の「執行による規制」アプローチは持続可能ではなく、アメリカにおけるイノベーションを阻害する可能性がある。これはまた、暗号資産に特化した取引所やカストディアンがSECの監督下で未登録証券を提供しているというリスクに直面することになり、資本市場にも波及することになる。 アンディ:その通りだ。私が何度も愚痴をこぼすのを聞いたと思うが、CFTC(商品先物取引委員会)とSECの「縄張り争い」はハードルであり、厄介だ。これは12年前にドッド・フランク(Dodd Frank)法が施行された際のバスケット・スワップでもそうだったし、暗号資産でも同じだ。香港のSFC(証券先物委員会)が「暗号資産」の規制構造をいち早く作り、その特別な性質とユーザーを認めたことを思い出す。今ではドバイのVARA(仮想資産規制庁)や、もちろんヨーロッパのMiCA(暗号資産市場規制法)も独自の方法で追随している。こうした規制構造の多くは、既存の資産や取引所を念頭に設計されている。ケリーは、重要な点を指摘した。つまり、ブロックチェーン・ベースの新しいプロジェクトにも、資金調達とローンチのための明確な道筋が必要だ。