2024-25 EASL序盤戦レポート【広島ドラゴンフライズ】…対戦相手が警戒する若きBリーグ王者
Bリーグと並行しながらHOME&AWAYで戦う、アジア最高峰の大会・EASL(東アジアスーパーリーグ)に参戦中の広島ドラゴンフライズ(日本1位)と琉球ゴールデンキングス(日本2位)のEASLにおける現在地を、今シーズンよりEASL公式アナリストを務める井口基史氏がレポートする。 文=井口基史
警戒されるBリーグ“チャンピオン”広島
昨シーズンのEASLは、千葉ジェッツが「undefeated(無敗)」という、強いインパクトを残した優勝だったことや、Bリーグのアジア特別枠で自国選手がプレー、さらにその報道が増えている影響もあり、日本勢がこれまでよりも注目されています。その注目のなか、Bリーグ“チャンピオン“として出場する広島は、EASL全体から警戒されている存在です。初出場のためか、選手の経歴、特徴を教えてくれと、交流のあるアジアのバスケ関係者から、今オフに一番問い合わせがあったのは、実は広島でした。こうして国際大会に出続けることで、「広島ドラゴンフライズ」の名がアジアに伝わっていくのだと、勝手に実感しています。
チャンピオンたちのオフはタフだった
広島のBリーグでのここまでは、開幕前に思い描いていた状況とは、決して違ったはずです。ケガ人を抱えたチームは開幕から4連敗。しかも4連敗中75得点以上を挙げられたのは1試合だけと、優勝直後のシーズンがいかに難しいのかを、チームもブースターも味わっています。いまだに思わず「朝山選手!」と呼んでしまう、新指揮官の朝山正悟ヘッドコーチは、選手たちのオフの短さについて、開幕前のEASLメディアデーにて言及していました。 ワイルドカード上位からの劇的な優勝は、セレモニーはもちろんのこと、スポンサーや関係各所への報告やお礼など、関係者全員にとって特別な時間があったはず。広島カープやサンフレッチェ広島という、先輩プロ球団があるホームタウンだからこそ、優勝の味を地域と味わう、という過程は大事だったと想像できます。 しかし、2019年を最後に新型コロナウィルス感染拡大の影響で開催がなかったFIBA主催「バスケットボール チャンピオンズリーグ アジア(以下BCL ASIA)」(アラブ首長国連邦・ドバイ)に出場するため、その味を存分に味わう時間の余裕はあまりなかったでしょう。広島はこの大会でグループBを2勝1敗で勝ち抜き、Al Riyadi Beirut(レバノン)に89-121で敗れたものの、3位決定戦ではグループフェーズで敗戦したShahrdary Gorgan(イラン)に対し81-76でリベンジを果たし、通算戦績3勝2敗として初の国際大会を終えました。広島はこの大会で計5試合を戦い抜きましたので、どこよりも長く公式戦を戦っていたことになります。 【広島Bリーグ優勝後のスケジュール】 ・2024年5月28日 Bリーグファイナル・第3戦(横浜アリーナ) ↓ ・2024年6月9日 BCL ASIA初戦(アラブ首長国連邦・ドバイ) ・2024年6月17日 BCL ASIA3位決定戦 このスケジュールは日本だけの問題ではないため、Bリーグにもクラブにもコントロールはできないと容易に想像できますが、Bリーグファイナルを3試合を戦い抜き、優勝の余韻がホームタウンに少ないまま国際大会を戦い、その間にストーブリーグも始まり、他チームより約1カ月オフが短くなる影響への対策が、すでにとられていることを、広島の序盤戦を見て願うばかりです。