松本サリン事件30年 元捜査員が証言「極秘捜査班」 薬物ルート調べ…事件から3週間でオウム真理教に辿り着く 大量の薬品購入に恐怖と使命感 サリン70トン製造予定 「都市10個壊滅させたかったのか」
辿り着いたのは…オウム真理教の道場
7月19日、捜査班は薬品を仕入れた人物の住所に辿りつきます。 県警元捜査員・上原敬さん(69): 「その住所がオウム真理教の世田谷道場だったんです。(信者が)望遠鏡でずっと監視してるとか、外を見ているとか、カメラを持って写真撮影したり。やばいなということで、直接当たれなくて帰ってくるんですけど(捜査班の上司らが)尾行されたって言うんです。これはえらいところだと、尾行を巻いて帰ってきた」
教団が初めて捜査線上に 秘匿捜査が始まる
事件発生から22日、初めて「オウム真理教」が捜査線上に浮上しました。さらに調べると、ペーパーカンパニーが様々な薬品を大量に購入していることも判明。緊迫度が増す一方、慎重さも要されたと言います。 県警元捜査員・上原敬さん(69): 「(捜査が)オウム真理教に向いてるっていうことがわかると、長野県警は宗教弾圧をすると言いかねない。言論で攻撃してくることもあるだろうし、直接的に暴力でくる場合もあるかもしれない。要するに捜査の混乱が起こるだろうと。それなら、これは秘密にしておこうと。その辺から秘匿捜査が始まる」
河野義行さん犯人視に「違和感」
上原さんたちが秘密裡に捜査を続ける一方、捜査本部は、容疑者不詳のまま第一通報者・河野義行さん宅の捜索を実施。その後、別の捜査班が事情聴取も。河野さんを犯人視する報道が続きます。 県警元捜査員・上原敬さん(69): 「われわれの捜査の中で出てきたのはオウムだけなんですよ、怪しいのは。なぜ皆さん、河野さんを注目しているのか不思議だったし、違和感を感じていました。(サリンは)一般の家でできない、作れない。捜査班の一つで、(河野さんの)事情聴取も必要だろうとは思いますけどね」
大量の薬品購入に…恐怖と使命感
その後も上原さんたちは薬品の購入歴や運送状況を捜査。翌年2月、想像を絶する「全容」をつかみました。 県警元捜査員・上原敬さん(69): 「(サリンを合成する)出発物質はダミー会社4社を通じてオウムは180トンを購入してた。この調子でサリンを作っていれば日本終わっちゃうよ。それを救うのは俺たちかもしれないな、みたいなことでね、うちのチームはそう思っていた」 あとは事件との関連を示す証拠の捜査。 しかし、その矢先…。