サイとシマウマの赤ちゃんが最高の友だちに、南アで保護の孤児 「本当にかわいいですよ」
サバンナでの暮らしを守るには
野生でのシロサイとシマウマの縄張りは重なり合う。いずれも主に草を食べる草食動物だ。「サバンナの利用方法は似ています」とロス氏は言う。 サイもシマウマも奇蹄目(きていもく)に分類される。ウマやロバも属する草食性で蹄(ひづめ)を持つグループだ。「分類学上、非常に近い関係です。シマウマにとってサイは仲間のような存在なのです」 シマウマは減っており、国際自然保護連合(IUCN)は「近危急種(near threatened)」に指定している。気候変動によって悪化する干ばつで、彼らに必要な水や食べ物が不足しているからだけでなく、農地の拡大によって生息域からも追われているためだ。 一方、シロサイは19世紀の終わりに数十頭まで減ったが、保護活動のおかげで今は「近危急種」とされている。サイにとって主な脅威は角を狙う密猟者だ。爪などと同じ成分でできている角は、文化圏によっては今も伝統薬や、彫刻の材料として珍重されている。密猟を禁止する法律はあるが、必ずしも厳格に運用されているわけではない。
いつの日か野生でも
デイジーにとってもモジャジにとっても、同じ仲間からしか学べないことはある。例えばサイは虫から身を守るために泥浴びをする。ぬかるみのある場所や水源を見つける技は母親から教わるが、デイジーはこれを他のサイから学ぶ必要があると、ロス氏は説明する。 モジャジは群れの中に存在する順位について学ばなければならないと、野生動物獣医でナショナル ジオグラフィックのエクスプローラー(探求者)であるシャリーン・アングウィナイアイ氏は言う。シマウマは生涯、同じ群れで暮らす。群れは1匹のオスと最大6匹のメスとその子どもたちから成り、移動する時は一番上位のメスが先頭に立ち、他のメンバーは序列順に一列になってそのあとをついていく。 成長するにしたがってモジャジは保護区の中の他のシマウマとより多くの時間を過ごすようになっている。それでもニウアウト氏によると、モジャジはおとなのサイの近くをうろついたり、時にはデイジーの元にやって来て、一緒に昼寝をしたりするという。 デイジーは、今では体重が450キロを超えるまでに成長し、同じく親を失ったサイたちと共に仲間との関わり方を学んでいる。 デイジーもモジャジも野生に戻り、互いにそう遠くはない場所で草を食べている日が来ることをニウアウト氏は願っている。
文=Cheryl Maguire/訳=三好由美子