「僕より先に死なないで」 アスベスト原因のがん『中皮腫』 自らも病に苦しみながら患者を笑顔で励まし続けた7年間 右田孝雄さんが遺してくれたもの
「右ちゃんが大切にしていたピアサポートをできる限りやっていこうと思っています。見守っていてね、右ちゃん。右ちゃん、出会ってくれてありがとう」 ■【動画で見る】【僕より先に死なないで】「呼吸するのも苦しい」 “余命2年”と宣告された男性 アスベスト・中皮腫患者の7年 潤んだ瞳でそう話した女性。そして、たくさんの花…。 「僕より先に死なないで」。そう言って、患者たちを励まし続けた男性が旅立ちました。 余命宣告を受けてから、同じ病気で苦しむ人たちをつないできた7年間。その生きざまとは。
■身近だったアスベストで… 年間1500人以上が死亡
かつて多くの建物に使われていたアスベスト。 数十年前にアスベストを吸い込み、がんの一種「中皮腫」を発症する人が今も多くいます。 余命宣告を受けても、患者たちのリーダーとして明るく励まし続けてきた男性が、今年3月に亡くなりました。男性の遺志は、残された仲間たちに引き継がれています。 6月16日。男性の写真を前に、大勢の人が花を手向け、手を合わせていました。 【中皮腫患者】「右田さんは色んな活動を通じて患者と家族に寄り添った方だと思います。右田さんの遺志を継いでキャラバン隊もがんばってまいりますので、よろしくお願いします」 右田孝雄さんの生きざまは、多くのものを仲間たちに遺してくれました。 【和歌山ろうさい病院 医師】「腫瘍がそれなりに大きくなっていると思う」 右田さんは2016年に、アスベストが原因とされるがん「中皮腫」で余命2年と告げられました。 高い断熱性や耐久性から、かつては“奇跡の鉱物”と呼ばれた石綿=アスベスト。 駅や学校など、私たちの身近な建物にも多く使われました。
日本では2004年に使用が原則禁止になりましたが、中皮腫はアスベストを吸ってから発症するまで長い潜伏期間があることから、死亡者数は増え続けているのです。今も、年間で1500人以上が亡くなっています。 【右田孝雄さん】「自分が中皮腫になった時に右も左も分からなかった。アスベストが原因って数十年たってから発症して、なんで自分やねんって」
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