フォーシーズンズホテル大阪、圧巻は水の都の眺望 トマトメインの広東料理レストランも
■モダンな日本旅館をイメージした特別フロアも
様々な特典が受けられる「クラブフロア」にあたるのが、28階の特別コンセプトフロア「GENSUI(玄水)」。エレベーターから降り立つと、ほの暗い空間が広がり、他のフロアとは明らかに違うムードが漂う。こちらは和食料理店「八雲茶寮」や和菓子店「HIGASHIYA(ヒガシヤ)」などを展開する「SIMPLICITY」がデザインを担当した。 モダン旅館を表現した畳敷きの客室にはマットレスタイプの敷布団が用意され、ほっこりとくつろげる。全21室のうち最も広い「グランド畳スイート」には、土間から一段上がったリビングエリアに4人掛けの掘りごたつ式のダイニングテーブルがあり、家族の長寿祝いなどの記念に利用するのもよさそうだ。 「GENSUI」フロアには、こちらに滞在するゲスト専用の日本茶サロン「SABO(サボウ)」もある。チェックイン、チェックアウトの手続きもこちらで可能。朝食は和のお弁当スタイルの御膳が供される。 36階にはスパや屋内プールなどを設えたウェルネスゾーンが広がる。「THE SPA(ザ・スパ)」のシグネチャートリートメントは、京都の歴史ある神社で祈祷を受けたアロマオイルを使用し、手技も日本の伝統に基づいたもの。また、大阪に息づく銭湯文化へのリスペクトから、大浴場は「OFURO(お風呂)」と名付けられ、木製の手桶(おけ)にも情緒があふれる。 16メートルのプールは一面ガラス張りで開放感たっぷり。ハイドロマッサージ機能もあり、窓の向こうの大阪の街並みを眺めながらくつろげる。
■メインはトマト、驚きの広東料理レストラン
シグネチャーダイニング「江南春(ジャンナンチュン)」と「バー・ボタ」、2024年冬オープン予定の鮨(すし)レストランが並ぶ37階のダイニングエリアは、「フォーシーズンズホテル東京大手町」など国内外の5つ星ホテルのデザインで知られる「デザインスタジオ・スピン」が手がけた空間。華やかかつスタイリッシュなムードが特徴で、家具もすべてオリジナルのものとなっている。 ポーランドの湖に沈んでいた4000年前の樹木を用いたドア、約6メートルもある一枚板のウォールナット材の長テーブル、研磨の仕方やたたき方で表情に変化をつけた天然石の壁材など、ディテールにまでこだわりが感じられる。 「江南春」は本格的な広東料理を提供するレストラン。香港出身のレイモンド・ウォン総料理長が伝統を守りながらもモダンに仕上げたチャイニーズは、旬の素材の持ち味を生かした繊細な風味が魅力だ。 シグネチャーのひとつである「蟹(カニ)の甲羅詰め」は、カラッと揚げた衣の中にココナツミルクとあえたカニ肉がたっぷりと詰まった、カニ好きにはたまらない一品。カニの形をしたジンジャーゼリーを甲羅の中で溶かしながら味変するのも楽しい。 メイン料理の「トマト精進料理」は丸のまま蒸したトマトにアミガサタケを帽子のようにかぶせたものにアスパラやトリュフを添え、さらにカボチャなどを用いた濃厚なソースをあわせた一皿。口に運ぶと野菜やキノコの甘味と酸味、うま味が一体となって広がる。メニューを目にした瞬間の「え、メインディッシュがトマト?」という驚きと期待を大きく上回ってくる傑作だ。 専用の釜で焼かれてワゴンで運ばれてくる北京ダックは、皮だけでなく肉もあわせていただくスタイルで満足度が高い。豆腐に包丁を細かく入れ、菊の花のような形に仕上げたデザートなど、巧みな技とセンスにもぜひ注目したい。