返済中の住宅ローン金利引き上げへのカウントダウンは始まっている! 銀行員が予想するシナリオとは
返済中の住宅ローン金利が上がったら、返済のリスケは良い手段か?
返済中の住宅ローン金利が上昇し、返済が苦しくなった場合、「リスケ(住宅ローンの返済年数という予定を組み直すこと)」を選ぶといった手段も考えられます。私も銀行員として数多くのリスケの相談や実際の処理をしてきました。 ただし、リスケはあくまで一時的な応急措置であり、その「しわ寄せ」があることを忘れてはいけません。まず、返済期間を延ばせば当然ながら返済年数が増え、支払う利息も増加します。 一般的に、リスケする場合、支払い金利が引き上げられることは少なく、それまでと同じ金利が続くことが多いです。しかし、金利上昇時の一斉引き上げのような事態になれば、リスケしていない人と同じように、変動金利なら基準金利の上昇に合わせて金利も上昇します。 また、毎回返済額を組み直して、ほぼ利息払いだけにするとか、毎月1万円だけの返済にするといったリスケもあります。確かに毎回の返済額は1万円になりますが、リスケは原則として半年後や1年後などの期間限定の対応です。その後もリスケを継続できるかは、銀行の審査により決定されます。 返済額を最小限に抑えるようなリスケは、半年あるいは1年後に打ち切られる可能性があり、その場合、繰り延べしていた元金返済額が上乗せされるため、リスケ前よりも返済が増えることになります。 このようなリスケは金融機関のシステムなど複雑な計算が必要で、具体的な事例を紹介することが難しいです。また、リスケは金融機関での審査が必要な対応であるため、ホームページなどでリスケのシミュレーションを掲載している金融機関はほとんどありません。 <しわ寄せの具体例シミュレーション~返済期間を延長した場合>(筆者による試算) 【前提条件】 ・借入額3000万円 ・20年返済(最長返済期間は35年) ・変動金利0.4% ・ボーナスなし ・5年間返済し、残高は2272万3437円 【検証内容】 このローンで1年間「元金ゼロで利息だけ支払う」場合の、毎回返済額の変化と、1年後(残り返済期間14年)に返済額を戻した場合の増加額 これはあくまで一つの計算でしか無く、実際には残っているローン残高やリスケの対処方法でも違ってきます。 ここでお伝えしたかったのは、1年という短い期間でもリスケをすると、その間は返済が減り「ひと息つける」わけですが、そのしわ寄せであとから返済が増えてくるということなのです。 【関連記事】>>【銀行員が解説】住宅ローン返済が苦しいなら「リスケ」の検討を!メリット・デメリットと、必要な条件を解説 なお、返済期間の延長は必ずしもリスケとは限りません。たとえば最長35年返済が可能な住宅ローンで20年返済を選んだ人が、返済を減らすために35年に期間を延長する場合、これはもともとの住宅ローンルールの範囲内なので、リスケとみなされない場合もあります。 このような場合は「返済条件変更」と呼ばれることがありますが、金融機関によって取り扱いが異なるため、ご自身で確認してください。