返済中の住宅ローン金利引き上げへのカウントダウンは始まっている! 銀行員が予想するシナリオとは
返済中の住宅ローン金利が引き上げられる時のシナリオを予想
では、返済中の住宅ローン金利が上がる時、どのようなシナリオをたどるのか? このあたりを、過去の事例から検証してみましょう。 これまで、金融業界でなにか動きがあれば、やはり大手であるメガバンクが先鞭(せんべん)をつけ、そのあとを地銀、信金が続くという流れでした。 銀行が動くときは、大から小へ そのため、仮に返済中の住宅ローン金利の一斉引き上げが現実になるとしたなら、メガバンクが「一斉に金利を引き上げる」と発表し、その直後に、地銀・信金も一斉に発表するという流れではないかと考えています。 このように、銀行でなにか大きな動きがあるときは、昔から「大から小へ」という流れがあるのは事実です。 ちなみに、ここで言う「大」はメガバンクで、「小」は地銀と信用金庫・信用組合のことです。 過去を振り返ると、大量の硬貨を取り扱う手数料の導入(参考2)では、やはりメガバンク→地方銀行→信用金庫・信用組合といった順番でした。具体的には、メガバンクの1~2ヶ月後に地銀、その次に信金といった流れになっています。 一方、競争激化からか、上記したような昔ながらの順番にならないケースもあります。たとえば、未利用口座手数料の時(参考3)は、メガバンク→信金→地銀と言ったケースもあり、かつメガバンク・地銀同士も足並みがそろってはいません。 参考2 (大量の硬貨に関する手数料) メガバンク・2020年2月発表:大量硬貨取扱手数料の新設について | みずほ銀行 地銀・2020年11月発表:各種手数料新設・改定のお知らせ | ニュースリリース | 肥後銀行 信金・2023年3月発表:お客さま各位 硬貨取扱手数料の新設のお知らせ|豊橋信用金庫 参考3 (未利用口座の手数料) メガ・2021年1月発表:未利用口座管理手数料 | 三菱UFJ銀行 ネット銀行・2021年9月発表:未利用口座管理手数料新設のお知らせ|セブン銀行 信金・2021年9月発表:「未利用口座管理手数料」の新設について|お知らせ一覧|川崎信用金庫 地銀・2023年7月発表:「未利用口座管理手数料」の導入に伴う預金規定の改定について | 青森銀行 また、現在ではネット銀行も加わり順番もまちまちになり、ネット銀行が先んじることも増えています。 たとえば、変動金利の基準金利引き上げも、ネット銀行の一部が先陣を切ったことでも分かります。 【関連記事】>>返済中の住宅ローン変動金利がついに上昇へ!住信SBIネット銀行、イオン銀行の短プラ引き上げは、他行に波及する? その一方で、国の施策などにより顧客に不利となるような大々的な動きの場合には、金融機関が足並みをそろえ一斉に動くことがあるというのも、銀行業界の特徴です。 こちらの例としては、休眠預金(※)の活用が法整備されたときで、普段はライバル関係にある銀行や信金が足並みをそろえ一斉に動きました(金融庁「長い間、お取引のない預金等はありませんか?」)。 (※)休眠預金:2年間など一定の長い間動きがない預金は、所定の手続きを経たあとで民間の福祉などに活用される制度。活用されても本人が請求すれば戻って来るのが原則 なぜなら、ここで自分だけ先走ってしまえば他銀行からたたかれますし、逆に出遅れた場合も目立ってしまい(一緒なら批判も受け流せたのに)、厳しい目を向けられる恐れがあるからです。 返済中の住宅ローン変動金利が一斉に上昇するときの流れ このように、過去の動きや発表のタイミングなどを考えてみると、以下のような流れになるのではないかと銀行員の私は考えています。 【返済中の住宅ローン変動金利が一斉に上昇するときの流れ】メガバンクから引き上げの発表をスタート ↓ 地銀・信金も追随 ↓ 実際に金利が上昇するタイミングでは足並みをそろえる もちろんこれは個人的な考えではありますが、「大から小へ」「顧客に不利なら足並みをそろえて」という過去の動きから考えれば、可能性はゼロではないでしょう。