そもそも「安保関連法案」とは? PKOや他国軍の後方支援をどう規定
安倍晋三首相が今国会での成立を目指す安全保障関連法案が、今月15日にも衆議院特別委員会で採決される情勢です。6月の憲法審査会で3人の憲法学者が「違憲」と表明して以来、法案が「合憲」か「違憲」かに特に注目が集まってきましたが、そもそもこの安全保障関連法案がどんな内容か、必ずしも理解が深まっているとはいえないかもしれません。今回の法整備によって、日本の国際貢献、具体的には自衛隊の活動がどう変わるのか。安全保障問題に詳しい美根慶樹氏が解説します。 そもそも「安保関連法案」とは?(上) 集団的自衛権をどう規定
国際貢献は湾岸戦争以来の新しい任務
国際貢献は自衛隊にとって湾岸戦争以来の新しい任務ですが、その重要性はますます増大しています。典型的な国際貢献は国連の平和維持活動であり、これは冷戦が終わる頃から急増し、日本も1992年に初めて参加しました。 安倍首相は、安全保障関係の法整備に関連して、国際社会の平和と安定にこれまで以上に積極的に貢献する必要があると強調しています。 今回の法整備では、国連平和維持活動法(PKO法)の改正と「国際平和支援法案」が国際貢献の強化について規定しています。「国際平和支援法案」は新規の法案になっていますが、現在は失効しているテロ対策特別措置法(テロ特措法、2001年成立)とイラク人道復興支援特別措置法(イラク特措法、2003年成立)を恒久法(有効期限を定めない法律)にしたものです。自衛隊が海外で活動する点では「重要影響事態法」の場合と類似していますが、「国際平和支援法案」の場合は日本に対する脅威が前提となっていません。 国際貢献は国際の平和と安定のため各国が協力するところに主眼があり、それは本来各国の「自衛」のためでありません。 しかし、日本の場合は自衛隊が海外へ出動することに関する日本国憲法の制約があり、国際貢献も、法的には、「自衛」の枠内で処理されてきました。自衛隊員は、PKOに従事している場合も行動を厳しく制限され、武器は、自らの生命・身体を守るためやむをえない場合、つまり「自衛」の場合以外は原則として使用できず、他国の隊員が危機に瀕していても駆け付けて救助すること(駆け付け警護)などできませんでした。 しかし、これではあまりに不公平であり、改善する必要があると指摘されてきました。今回のPKO法改正案においてはそれを可能とする新しい規定がPKO法第26条として追加され、いわゆる「駆け付け警護」の問題は解決しました。