「強いチーム倒して優勝を」 ベイ愛貫いた〝番長〟三浦監督が導いた26年ぶりの日本一
プロ野球のSMBC日本シリーズ2024は3日、横浜スタジアムで第6戦を行い、DeNAがソフトバンクに11―2と大勝し、2連敗からの4連勝で1998年以来、26年ぶり3度目の日本一を達成した。 【写真】優勝し、胴上げされるDeNA・三浦大輔監督 慣れ親しんだ景色がにじむ。エースナンバー「18」を背負って1998年に栄冠を手にしてから26年、DeNAの三浦監督が歴史を塗り替えた。就任4年目での日本一。「いろんな思いがね。98年から勝てず、自分ももう一度と。監督として優勝できてうれしい」。そう笑う指揮官の頬には涙の跡があった。 大洋時代の92年に入団。これまでベイスターズで天と地を味わってきた。98年に強打の「マシンガン打線」で頂点に立ったが、その後チームは長い低迷期に入った。2002年からの11年間で最下位は9度。球場は閑古鳥が鳴き、スタンドから物が投げ入れられた日もあった。 「三浦さんは一回優勝しているからいいですよね。僕も経験したいんです」。他球団へ移籍する同僚の言葉が耳に残る。「寂しかった。何より優勝できないチームと思われていることが悔しかった」と唇をかむ。 08年オフにフリーエージェント(FA)宣言。ファンだった阪神から声がかかり、心は揺れた。思い浮かんだのは、負け試合でも最後まで声をからしてくれるファンの姿。「強いところを倒して優勝したい。こっから優勝したほうがおれらしい」。ベテランとなってなお人一倍汗を流し、率先してファンサービスに努める姿は、後輩たちの道しるべになった。 21年の監督就任以降、意識してきたのは「結束力」だ。コーチの提言に耳を傾け、知人の調教師ら各界の著名人の言葉からマネジメントのヒントをもらうこともあった。「ミスしても忘れろ」と背中を押された選手たちは、短期決戦を伸び伸びプレー。いつも力をくれる心強い大歓声を背に、チームは13安打11得点の猛攻で、直近8度の日本シリーズですべてで頂点に立ったソフトバンクを4連勝で押し切った。 「試合するたびに選手たちが進化していった。中身の濃い期間になった」と指揮官。3位からの下克上。いかにも「三浦大輔らしい」頂点だった。(川峯千尋)