【シネマ】上映館拡大の大ヒット作「侍タイムスリッパー」の安田淳一監督と沙倉ゆうのさんが福岡に!
―監督自身の時代劇の記憶というと、どんな作品に影響を受けられていますか。 安田 映画では黒澤明監督の「椿三十郎」や「用心棒」がすごく好きです。そして僕らの世代はテレビ時代劇で育っているので(テレビ時代劇にも)好きな作品がたくさんあります。勧善懲悪の分かりやすいストーリーラインがあって、市井の人たちが無私の気持ちで助け合う姿が描かれている。山田洋次監督の「男はつらいよ」にも通じると思います。
主人公を応援したくなるのが安田監督作品の魅力(沙倉さん)
―安田監督の3作品に出演されている沙倉さん。監督の作品や監督自身の魅力とは。 沙倉 これまで撮られた3作品とも、主人公が誰からも愛され応援してもらえる人物像です。監督も「応援したくなる人物じゃないと(見る側が)感情移入できない」と言われていて、みんなが主人公を応援したくなる映画というのが魅力です。それと“面白い映画だったな”と気持ちよく見終えられる作風も好きです。監督自身はこだわりが強い人で、自分の頭の中にある映像になるまで何度でも、翌日に持ち越しても撮り直すタイプ。全てに妥協しないところが信頼できます。 ―本作の脚本を最初に読んだとき、どんな印象を受けましたか。 沙倉 実は、安田監督の作品で初めて脚本があったんです。過去2作品は監督の頭の中に脚本があるだけで、その日に撮影する分をもらっていたんです。でも今回の作品は時間もお金もかかるということで事前に脚本が出来上がっていて(笑)。初めて読んだときは、侍としての思いが凝縮されているラストシーンに涙が出ました。そして1回読んだだけで全体がイメージできる分かりやすい脚本でした。
―本作には出演しスタッフとしても関われていますが、何か発見がありましたか。 沙倉 共演の俳優の方々を見て影響を受けました。(主演の)山口馬木也さんは「できる限りうそがないようにしないと演じるのが恥ずかしい」と言われてましたし、多くの俳優さんそれぞれのお芝居の仕方を間近で見られたのが勉強になりました。スタッフとしては小道具も担当しました。プロの小道具担当の方に脚本のシーンごとに何が必要かをリストにしてもらって、(私が)前日に準備して撮影が終わるとまた次の日の準備をするという感じで。スタッフの皆さんが朝早くから夜遅くまで仕事しているのは知っていましたが、実際にやってみるととても大変でした。