34歳、ゲレンデを買う──10万円の差額は必要か否か(Vol.4)
29歳で人生初のフェラーリを購入した『GQ JAPAN』の編集部員のイナガキが、ひょんなことからメルセデスの“ゲレンデ(Gクラス)”を購入することに。はたして、“跳ね馬”の次はいかに? 【写真を見る】3年間で約50万円!? 保険料の詳細など
価値ある“故障運搬時車両損害特約”
2015年式のG350ブルーテック購入に向けて準備開始。まずは自動車保険だ。 Gクラスは高価だと言ってもスーパーカーではないので、ダイレクト型でも車両保険に加入OK。これでやっと高額な自動車保険料から解放される! と、小躍りしたものの、結果として、そう変わらない出費となった。 なぜか? 今回、自動車保険は損害保険ジャパンと、決めていた。故障運搬時車両損害特約に惹かれたからだ。最大100万円までの故障修理費を補償する。9年落ちのゲレンデについて調べると。故障情報もチラホラ……。アドブルー関連や車載コンピューター故障で100万円超というケースもあるようだ。そうしたことを踏まえると、本特約は心強い。 もちろん、なんでもかんでも保険金が支払われるワケではない。たとえば、損保ジャパンへ事前のレッカー手配の連絡がない場合は不可。自走が可能な場合も支払われないため、例えばカーナビ、エアコン、電動シートの故障などは含まれない。もっとも、法令上走行が禁止されている状態……ヘッドライト、ドアミラー、ワイパーの故障により視界が確保できない場合などは支払い対象となる。 自動車保険を長年依頼している(株)GSTの担当者も加入しているそうだ。GSTはアルファロメオやルノー、プジョーといった“イタ・フラ”車のディーラーを多く手がけている。ゆえにそれらのクルマを所有する社員も多くいると聞く。そしてその彼らのほとんどが損害保険ジャパンの故障運搬時車両損害特約を付帯しているという。それだけ、“使える”自動車保険という証だろう。実際、特約の恩恵を受けている人も多いそうだ。 というわけで、早速、見積もりを依頼した。結果は、初年度、¥176,796(17等級、事故有期間3年)。前車のフェラーリ「カリフォルニア」が¥148,240だからそれより高額だ。ちなみにダイレクト型自動車保険の某社で見積もったところ、車両保険を近しい金額で設定した結果約¥70,000。年約¥100,000ほどの差額だ。 本特約は損保ジャパンだけだ。調べたところ東京海上日動にも似たような「故障補償特約(搬送時) 」があったものの、10万円が上限。損害保険ジャパン並みの100万円というのは他社にない。 多少高くとも、9年落ちのゲレンデだから何が起こるかわからない。YouTubeで見つけたGクラス買取専門店のチャンネルでは、2017年式のG350dを購入、4年間/年1万km走行した場合(車検を1回通す)、修理積立は月¥20,000×48カ月、計¥960,000を確保するのが無難という。 修理費として¥960,000を用意するのと、自動車保険を1年あたりプラス¥100,000×4年間=¥400,000支払うのはどっちが得か……ちなみに、特約で保険金が支払われた場合「1等級ダウン事故」で済むそうだ。なお1等級ダウン事故は火災や爆発、盗難、台風や洪水、落書きやいたずら、窓ガラスの破損。飛び石など飛来物との衝突などが対象という。 しかも長期契約(3年)の予定だから、初年度ないしは2年目に故障運搬時車両損害特約を使ったとしても、次の更新時は事故有係数適用期間が0年となり、無事故の割増引率が適用される。 故障が皆無なら故障運搬時車両損害特約は無駄だ。4年間で¥400,000をドブに捨てるようなものだ。ただし、人生何があるかわからない。大きな故障があったときのリスクを踏まえ、今回は損害保険ジャパンとした。 果たして、故障運搬時車両損害特約がどこまで役に立つかはわからない。もっとも、役に立つような故障が起こっても困るが……。
文と編集・稲垣邦康(GQ)