ホンダ「CR-Xデルソル」もスズキ「X-90」も今ならもっと売れたかも? 時代を先取りしすぎたクルマ5選
日産 プレーリー
まだミニバンというジャンルが確立していなかった1982年に登場した日産「プレーリー」は、「びっくりボクシーセダン」というキャッチコピーで、セダンの延長線上にあるクルマとされていた。 しかし実際は3列シートを備え、両側スライドドアを持った、まごうことなきミニバンスタイルで、リアゲートもバンパーごと大きく開く使い勝手の良いものとなっていた。さらに両側スライドドアはピラーレスの大開口部を持っており、ある意味ミニバンの理想形とも言える形状となっていたのだ。 ただ当時の技術レベルでは両側ピラーレスで開口部の大きなボディでは十分なボディ剛性を保つことが難しく、距離を重ねたモデルではコーナリングをするたびにルームランプが光る(つまりボディが歪んでいる)ほどとも言われるありさまだったが、そのコンセプトは間違いなく時代を先取りしたものだった。
ダイハツ ネイキッド
1997年の東京モーターショーに「ネイキッド X070」という名前で参考出品され、反響の大きさから1999年に市販化されたダイハツ「ネイキッド」。じつはコンセプトモデルの発表から市販モデルの発売までの間に軽自動車の規格変更がなされ、ボディサイズの拡大がなされているのだが、コンセプトモデルのイメージを変えることなく大型化がなされていた。 そんなネイキッドは車名のとおり、あえてボルトなどを車外に露出させた裸のようなスタイルとなっていた。簡単に外装部品を交換して楽しむことができるようになっていたほか、バンパーの角部分のみを別パーツとし、交換時の費用を圧縮できるようにする点は10代目「ハイゼットカーゴ」の後期型にも採用されたアイデアの先取りだった。 また乗用車(「ミラ」)ベースでSUVテイストを持った軽自動車というのも時代を先取りしており、同様のコンセプトのモデルが次に登場するのは2020年に登場した「タフト」(2代目)まで待たなければならなかった。
ホンダ CR-Xデルソル
「シビック」をベースとしながらも、よりショートホイールベースで2+2の短い全長を持つことで、シビックよりもさらにスポーツ度の高いモデルとして人気を博してきた「CR-X」。そのCR-Xが3代目にフルモデルチェンジをしたタイミングで、「デルソル」のサブネームを与えられてオープンエアモータリングを楽しむことができるモデルに大きく舵を切った。 一応、DOHC VTECエンジンを搭載したホットグレードのSiRは継続設定されたが、硬派なスポーツモデルからナンパなオープントップモデルになったことで従来のユーザーから落胆の声も聞かれた。 しかし「トランストップ」仕様では、スイッチ操作のみで屋根をトランクルームに格納することができる手軽さや、リアウインドウも開閉式とすることで得られる高い開放感、そしてメタルトップを備えることで高い耐候性も兼ね備えるなど魅力も多く、CR-Xの名前を冠さなければもう少し評価も変わっていたのではないかと思える1台だったのだ。
小鮒康一(KOBUNA Koichi)