住友ゴムが欧州と北米でのDUNLOP商標権を取得 新技術搭載タイヤの世界展開を加速
住友ゴム工業(以下、住友ゴム)は2025年1月8日、オンラインで記者会見を開き、The Goodyear Tire & Rubber Company(以下、Goodyear)から、欧州、北米、オセアニアの地域における四輪タイヤ「DUNLOP(ダンロップ)」の商標権などを譲り受ける契約を、日本時間で同日(米国時間で同月7日)に締結したと発表した。取得額は5億2600万米ドル(1ドル=157円で換算し826億円)だ。 契約後の住友ゴムにおけるDUNLOPタイヤ商標権の対応エリア[クリックで拡大] 出所:住友ゴム 住友ゴムは今回の商標権取得により、一部の地域や商材を除いてグローバルにDUNLOPブランドのタイヤ事業を展開できるようになる。なお、同社がDUNLOPブランドで事業展開できない地域は、四輪タイヤがインド、マレーシア、シンガポール、ブルネイ、モーターサイクルタイヤは、インド、欧州、オセアニアなどとなっている。
欧州、北米、オセアニアの市場でDUNLOPはTier1ブランド
住友ゴムは、日本およびアジアの市場では、DUNLOPと「FALKEN(ファルケン)」の2ブランドで、消費財タイヤやプレミアムタイヤ商品ゾーンの攻略に注力し、独自技術を用いた商品を投入し、成果を出してきた。欧州、北米、オセアニアの市場では、これまでDUNLOPブランドが使えなかったためFALKENブランドを中心に展開し、SUV用やピックアップトラック用のタイヤで市場獲得に成功している。 欧州、北米、オセアニアの市場でプレミアムタイヤ商品ゾーンの攻略を本格化するために、同社はGoodyearが持つ欧州、北米、オセアニアにおけるDUNLOP商標権の獲得に踏み切った。 住友ゴム 代表取締役社長の山本悟氏は、「欧州、北米、オセアニアにおけるDUNLOP商標権を獲得した意義は、当社の独自技術を備えたプレミアムタイヤ商品をDUNLOPブランドでグローバルで販売可能となり価値を最大化できるようになった点にある。欧州、北米、オセアニアの市場ではFALKENブランドがTier2(二次下請け)ブランドのトップレベルまで到達できたが、Tier1(自動車メーカーに直接部品を供給するメーカー)ブランドにはなれなかった。欧州、北米、オセアニアにおけるDUNLOP商標権の獲得により、市場でのポジションを生かしTier1ブランドとして当社のプレミアムタイヤ商品を投入しやすくなり、利益率を高められるとみている」と話す。 2024年時点における住友ゴムの消費財タイヤの販売割合は、本数ベースでプレミアム商品が40%、その他商品が60%だった。2023~2027年を対象とした中期経営計画(中計)では、最終年度の2027年にプレミアム商品を45%、その他商品を55%とする目標を掲げていた。 今回のDUNLOP商標権獲得を生かし、欧州、北米、オセアニアの市場でDUNLOPブランドのプレミアム商品を追加投入することで、2030年に消費財タイヤの割合でプレミアム商品を60%とし、その他商品を40%とすることを目指す。