【解説】日銀・政策維持の背景は…政治混乱の影響は? マイナス金利解除はいつ?
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日銀は金融政策決定会合で、現在の大規模な金融緩和政策の維持を決めました。マイナス金利解除はいつになるのでしょうか。政治混乱の影響は?日本銀行の植田総裁の記者会見について、経済部の宮島香澄解説委員とお伝えします。 【解説】デパ地下でみる「円安」 日銀・金融政策の影響は ーー今年最後の金融政策決定会合は、たった今、植田総裁の記者会見が終わりました。どんな内容でしたか? 今回は市場が、近く、金融政策を正常化するんじゃないかと、大きな政策変更に少し期待が膨らんだ中での金融政策決定会合でした。注目されたのですけれども、結果としては、今までの政策を維持しました。
■総裁会見のポイント
植田総裁の会見のポイントですが、まず大規模な金融緩和策は維持しました。植田総裁は慎重な物言いではあったのですが、現状に悲観的な感じもしませんでした。 また、予想物価上昇率は緩やかに上昇。「第二の力」が出てきたといいます。日銀の人たちは第一の力、第二の力と言うのですが、同じ物価上昇でも、第一の力は、円安や海外の物価の上昇による、外からの力での物価上昇のことを言います。 第二の力は、賃金と物価がお互いにいい循環になって、そして物価が上昇していくその力です。今、第一の力がだんだん弱まってきて、第二の力、いい形での物価上昇が少し始まっているという評価でした。 それで結果的に目標、つまり賃金と物価の上昇での目標実現の確度は高まってはいるのですが、その見極めは難しいと、これで「大丈夫だと見通せる状況ではない」と言いました。 次に、アメリカの影響ですが、アメリカがここにきて金利を下げることを考え始めたとみられますが、アメリカが金利を下げると日本銀行の政策変更が、ちょっとやりにくくなるのではないかという見方があります。 それで、アメリカが金利を下げ始める前に、日銀が政策変更をするという考え方はあるのかという記者の質問に対して、「前に動くという考え方はない」と話しました。植田総裁の考えです。 それから、足元の実質賃金低下、これは物価が上がると賃金が上がっても、実質的な賃金が低下するんですが、足元この賃金がマイナスであっても、金融政策を「正常化する、その障害にはならない」と話しました。 全体的に、もちろんまだ見極めができていないということで、慎重な物言いでしたが、来年1月の日銀の支店長会議などからの「リポートは重要」という話でした。