【解説】日銀・政策維持の背景は…政治混乱の影響は? マイナス金利解除はいつ?
■11月以降の環境変化
前回の日銀の政策決定会合以降で大きいのは、アメリカの国債金利の急激な低下です。アメリカのFRBは、3回続けて金利の引き上げを見送り、打ち止め感がでました。今後は、日米の金利差が縮まり、アメリカ側の要因で円高ドル安になっていく観測が広がっています。 バイデン政権は、来年の大統領選挙にむけてインフレ対策重視から雇用対策重視、ドル安路線に転じたとみられます。 それから、11月16日にゆうちょ銀行が日本国債への投資拡大を発表しました。日銀はずっと国債を大量に買ってきましたが、このあと大量にゆうちょ銀行が買いそうなので、これは日銀が国債の買い入れを大きく減らせるチャンスかもしれないということです。 日銀ががんばって国債を買う必要は薄れています。
■マイナス金利解除はいつか?
ーーそんな中で、マイナス金利解除は近そうでしょうか? 私達に身近な預金金利などが政策を先取りして動き始めましたね。預金に金利がつき始め、ボーナス金利キャンペーンもありますよね。「利上げは困る」とみられていた地方の金融機関までが、12月の日銀のレビューの場で利上げを要望しました。 ですので、1月にも解除がありうるという声があります。 一方で、1月にマイナス金利解除をして、もし、銀行が変動の住宅ローンの金利を引き上げた場合、実際に借りている人の金利があがるのが来年6月ごろになると見られます。政府の経済対策の定額減税と時期がかぶって効果を減らしてしまうのではないかと。政府の政策との整合性は問われます。 ーー1月でないとすると、いつ頃という予測は立っているんですか? 植田総裁が言っているように賃上げの状況をしっかりみてからということですと、春闘の結果が見える4月、早くても3月、この見方はエコノミストの中で強いです。 ーー政治の行方も気になりますね? 19日、裏金問題をめぐって政治が混乱していて、ここで金融政策修正で金融市場まで混乱するのは避けたいうこともあったと思います。この先、この問題や政局がどうなるか。当初は安倍派の問題ならリフレ派の声が小さくなり、日銀が出口にむかいやすいという見方もありました。でも今は、政権や政治全体を揺るがす事態になっています。 来年は、政権の行方も視野にいれながら、長い大規模金融緩和の出口を探る年になりそうです。 以上、宮島解説委員とお伝えしました。