食塩を代用すると高血圧リスクが40%低下する可能性! 研究で明らかに
これまでの研究では、ナトリウムの摂取量を減らすと血圧が下がることが実証されていた。とはいえ、食事からナトリウムを排除するのは非常に難しいでしょう、とカーン博士は話す。さらに、塩分を完全に排除すると低血圧症につながる恐れがあり、健康に害を及ぼすかもしれない。このことから、ナトリウムを別の物質や代替塩で置き換えることはできないのか、という疑問が湧いてくる。 またカーン博士は、代替塩の使用は多くの高血圧症の人にとって明らかな利点がありますが、正常な血圧または健康な血圧の人が高血圧症を予防する方法として代替塩を使用する際の効果についてはさらなる研究が必要です、と話している。「慢性腎臓病や不整脈と心臓突然死を含む心不全など、カリウムの排泄に障害のある人が代替塩を使用することにもリスクがあります」と彼女は指摘する。
さらにカーン博士は、国や文化によってナトリウムの摂取方法が異なることに注意するのも重要です、と付け加える。「たとえば中国では、摂取ナトリウムのほとんどが調理の過程で加えられる塩からきています。いっぽうアメリカでは、摂取ナトリウムの70%近くが市販の加工食品やレストランの食べ物に含まれています」と彼女は指摘する。したがって、この研究結果は必ずしも一般的な人々に当てはまるものではない。 カリウムを含む代替塩にはそのほかの健康効果があるかもしれませんが、健康的な食事をするうえでもっとも重要なのはバランスです、とカーン博士。「すべての主要栄養素をバランスよく摂取できているかどうか確認しましょう」と彼女はアドバイス。地中海式ダイエットのような心臓の健康に優しいバランスの取れた食事は、心臓全体の健康にとって非常に重要だ。さらに、塩を置き換えたからと言って、食事におけるほかの要素の重要性やヘルシーな食事に必要な全体的なカロリー摂取は、排除できるものではありません、と彼女は説明している。
translation : Mutsumi Matsunobu cooperation : Yumi Kawamura photo : Getty Images