巨人V9時代に似てきた好調ソフトバンク
チーム防御率は、3.08で、楽天に、わずかに0.07及ばないが、4勝5敗の摂津と、6勝5敗のスタンリッジが、ファームに落ちているという贅沢なローテーを組み、バリオス、五十嵐、サファテのブルペン陣は、立派な勝利の方程式だ。 ベンチで喜怒哀楽を出している工藤監督は、「試合の流れ」に、いつも注意を払っている。点のとられ方、特に四球の絡み方に気を配りながら、ゲームの流れを読んで采配。ときには、勝利権限を得る直前での投手交代も迷わずやってのける。「ベンチでは冷静に一喜一憂しないようにしている」と言うが、監督1年目とは思えない決断力が目立つ。現段階で、V9の名将、川上哲治氏と比べると怒られるだろうが、工藤監督が発言する「勉強になった」「改めて確認できた」という謙虚な姿勢は好感を持てるし、間違いなく采配もチームの推進力となっている。 では巨人のV9時代に似てきたとさえ言われるソフトバンクに死角はないのだろうか。 星野氏は、「ないわけではない」と言う。 「去年、私が指揮をとった楽天は、最下位だった対ソフトバンクには、12勝12敗と5分の数字を残した。私が徹底したのは、バッテリーが『逃げるな』ということ。パリーグはお谷をはじめ、力のあるピッチャーがいるのだから、彼らが、逃げずに攻めれば、勢いを止めることはできる」 混セに比べてパ・リーグは、ソフトバンク、日ハム、西武の三つ巴戦の様相。ソフトバンクは、最終結果で巨人V9の再来を示すことができるのか。 (文責・駒沢悟/スポーツライター)