巨人V9時代に似てきた好調ソフトバンク
ソフトバンクの勢いが止まらなくなってきた。交流戦優勝の勢いのまま、日ハムとの首位決戦で再開したリーグ戦で3連勝、0.5差の2位で始まったが、終わってみれば首位を奪い2.5差とした。21日の第3戦は、0-2のスコアから4番内川の一振りで見事な逆転劇。工藤監督は、「3連戦を勝ち越すということを目標に自らに言い聞かせながら戦っていくだけ」と、マネジメント論を語ったが、これで貯金は「15」。ソフトバンクの強さは際立っている。 楽天のシニアアドバイザーで評論活動も再開している星野仙一氏は「今のソフトバンクは、昔の巨人の黄金時代を見ているみたいだ」という高い評価を口にした。昔の巨人とは、もちろん、故・川上哲治氏が、黄金期を築いたV9時代のことを指す。 「どこからでも点の取れる打線の爆発力が、今は目だっているが、ピッチャーの先発の頭数から、中継ぎ、抑えも、しっかりと固めているし、細かい野球もできている。目に見えないところで随所に足を絡めて塁を先に進めている。工藤監督が、投手目線で打者心理を読んでるのだろう。エンドランの使い方などが非常に上手い。打線が、あれだけ打つと、ヨソのチームが逃げ腰になってくる。巨人の昔が、まさにそうだった。交流戦では、セ・リーグのチームのバッテリーが逃げていた」 巨人のV9時代は、高田繁(現横浜DeNAのGM)、柴田勲の1、2番が、機動力を絡め、王貞治、長嶋茂雄のONが、3、4番を組み、5番に恐怖の5番打者と恐れられた末次利光がいて、下位打線にも、黒江透修、森祇晶、土井正三ら高い守備力を持ち、打撃でも意外性と機動力を絡めることのできるメンバーがそろっていた。どこでも点の取れる打線である。 現役時代のスタートと、巨人V9の円熟期がぶつかっている星野氏が、当時のV9打線と重ねてしまうほど、今季のソフト打線の威力は凄まじい。 チーム打率(.271)、得点(303)、本塁打(68)は、いずれもリーグトップ。 ソフトバンクのONは、工藤監督が信頼を置き、全試合3、4番を動かしていない柳田、内川だ。5番には、イデホ。そして6番に松田。このイデホと松田の2人が、巨人時代の末次ばりの恐怖の5、6番として存在感を示している。 1、2番については、臨機応変で、この3連戦は、打率.328の中村に代えて足が使える福田を1番に起用している。スタメン9人中、5人が3割打者なのだから、相手バッテリーがおののくのも無理はない。交流戦では、細山田、高谷、高田と下位打線に起用した選手が次から次へと当たった。軸が固定されていて日替わりヒーローが生まれるチームは手がつけられなくなる。