復興応援で伸びる日本酒 石川「ひやおろし」予約1割増
●9月6日一斉発売 能登半島地震の復興を応援しようという動きが後押しして、石川産の日本酒の需要が伸びている。9月6日に石川県内21酒蔵から一斉発売される秋の季節酒「ひやおろし」の予約数は、前年比1割増の約3万4千本に。被災した奥能登の酒蔵も参加しており、県内外で続いている支援が引き合いを強めているとみられる。各酒蔵は被災蔵の再建につなげるため、地酒の盛り上げに力を入れる。 ひやおろしは冬に醸造してひと夏熟成させ、火入れをせずに生詰めした日本酒で、落ち着いた香りと丸みのある味わいが楽しめる。石川県内では2007年から県酒造組合連合会、北陸三県卸売酒販組合、県小売酒販組合連合会が連携して一斉発売のキャンペーンを実施している。 ●21銘柄3万4000本 18回目の今年は21酒蔵が1銘柄ずつを出品。うち五つが奥能登の企業で、被災した蔵から取り出した酒米を使い、別の蔵の支援を受けて醸造した銘柄もある。出品した酒蔵は被災などを理由に昨年より3カ所減ったものの、酒販店から受け付けた予約数は、昨年の3万1742本を上回った。 ひやおろしとしてはキャンペーンの商品のほかに、各酒蔵がオリジナル銘柄を出している。県酒造組合連合会によると、ひやおろし全体の出荷量は北陸新幹線金沢開業後に12万本(720ミリリットル換算)に増えたが、コロナ禍で落ち込み、昨年は9万本となった。今年は全国で能登を応援する動きが広がったことで需要が高まり、連合会は10万本超を期待している。 また、同連合会が統一デザインラベルで3月に発売した18銘柄の復興応援酒は全国から注文があり、6月末時点で6万本を販売した。1本当たり200円が義援金となるため、被災蔵への支援につながっている。 金沢以南では、復興応援の需要により、酒類全体の売り上げを伸ばしている酒蔵もあり、担当者は「被災蔵への支援で共同醸造した酒も人気があり、能登の酒蔵のためにも消費が盛り上がってほしい」と話した。 9月6日からのキャンペーンでは、720ミリリットル入りのビンで統一し、純米吟醸酒や吟醸酒、純米酒などを1650~2420円で販売する。同連合会の車多一成会長(車多酒造社長)は「蔵の再建には数年かかるので、能登の応援でさらに日本酒を飲んでほしい」と呼び掛けた。