その仕事ぶりに大いに共感し、感動した! レクサスLBXに加わった高性能版「MORIZO RR」にサーキットで試乗 これぞ高級スポーツ・スニーカーの味だ!
これはレクサスのホットハッチだ!!
レクサスの“小さな高級車”LBXに、GRヤリスから移植したパワートレインを積んだ高性能版が登場。サーキットで初乗りした。 【写真20枚】レクサスのホットハッチ! LBX MORIZO RRとは、どんなクルマ? 詳細画像でチェックする!! ◆GRヤリスのパワートレインを移植 今年1月の東京オートサロンに出展されたレクサスLBXの高性能版が、ついに市販されることになった。そのプロトタイプに乗せてくれるというので、千葉県の袖ヶ浦フォレストレースウェイまで行ってきた。 その名も「LBX MORIZO RR」。モリゾウというのは、もちろんマスタードライバーの豊田章男氏のこと。そして、RRというのはルーキー・レーシングを指している。すなわちコレ、豊田氏が発案し、レーシング・ドライバーの佐々木雅弘選手が中心になって鍛え上げて完成したモデルなのである。 なんといっても一番の注目点は、GRヤリスのパワートレインが移植されていることだ。これまでハイブリッドだけで、走り好きにはいささか物足りない印象だったLBXに、304ps、400Nmのパワー&トルクを誇る、あの1.6リッター直3ターボが搭載されるのだから朗報である。しかも8段ATに加えて、GRヤリスと同じ6段MTも用意されるのだ。 ノーマルより15mmだけワイドになり、10mm低められたボディは、上質で洗練されたデザインはそのままに、グリルやバンパーまわりに手が入れられてより精悍な印象になった。インテリアでは、ノーマルより座面が10mm下げられたスポーツシートやアルミパッドが採用されたペダルがいかにもスポーツ・モデルという印象を醸しだしている。実はブレーキ・ペダルの角度にまでこだわり、踏みやすいように調整が施されているとMTには旋回時などに使うことも考慮して手動式のハンドブレーキまでもが用意されているのにも驚いた。 さらに、ボディやシャシーの変更点を聞いていて仰け反った。ボディ剛性を高めるためにピボットの打ち増しや接着範囲の延長をしているのはともかく、サスペンションのロアアームの中に熱硬化樹脂を塗布して焼き付け、パーツ剛性を上げて応答性を高めるなんていう涙ぐましい努力までしているというのだ。それで特許まで取得したというけれど、ほとんどバックヤード・ビルダーがやる手作業で、とてもトヨタのような大メーカーがやる仕事とは思えない。もちろん、私はその仕事ぶりに大いに共感し、感動しているのである。 ◆サウンド・システムが凄い! さて、まずはATモデルから試乗。発進が滑らかなのはもちろんだが、そこからの加速感が素晴しく気持ち良く、しかも荒っぽさが微塵もないのに感心した。なるほど、同じエンジンを搭載していると言っても、GRヤリスとはまるで違う乗り味を狙っているのだとわかる。ロード・ノイズやメカニカル・ノイズの侵入も少なく、いかにも大人のスポーツ・モデルという感触である。全体に骨太感があり、クルマの動きが極めて安定している。ステアリングを切り込んだ時の反応がピーキーではなく、それでいて切れば切っただけ曲がってくれるから、安心してコーナーに進入して行ける。立ち上がりのトラクションのかかり方も上々だ。 さらに、ドライブ・モードをスポーツ、電子制御オフと切り換えていくと、クルマの動きだけではなく、音まで大きく変わってくる。なんとスピーカーからモード別に異なるサウンドを響かせるシステムが付いているのだ。ブリッピング音はもちろん、バックファイヤーのパンパンという音までシンセサイザーで作っているという。回転音とブリッピング音のお手本はLFA、バックファイヤーはGRスープラのものを真似ているのだとか。モリゾウさんも佐々木選手も、においや音が大好きなんだそうで、エンジニアもかなり気合を入れて音づくりをしているのがわかって、それを聴きながら走っているだけで、思わず笑ってしまった。 そしてMTにも乗ったが、こちらはATよりも気合を入れて走る必要があり、笑いながら音を楽しんでいる余裕は私にはなかった。というよりも、真剣に集中して走りたい気分にさせるクルマなのだ。ノーマル状態からスポーツ設定だからMTモデルにはスポーツ・モードはなし。 ATかMTか、どちらを選ぶかは好み次第。いずれを選んでも高級スポーツ・スニーカーみたいな大人のスポーツ・テイストが付いてくる。 文=村上 政 写真=柏田芳敬 ■レクサスLBX MORIZO RR 駆動方式 エンジン・フロント横置き4WD 全長×全幅×全高 4190×1840×1510mm ホイールベース 2580mm 車両重量 1440kg エンジン形式 直列3気筒DOHCターボ 排気量 1618cc ボア×ストローク 87.5×89.7mm 最高出力 304ps/6500rpm 最大トルク 400Nm/3250-4600rpm トランスミッション 8段AT/6段MT サスペンション(前) マクファーソン式ストラット/コイル サスペンション(後) ダブルウィッシュボーン/コイル ブレーキ (前、MTは前後)通気冷却式ディスク、(後)ディスク タイヤ(前後) 235/45R19 車両本体価格(税込み) 650万円 (ENGINE2024年9・10月号)
ENGINE編集部