「インディーゲーム業界を代表するな」「主語がデカい」とツッコミ殺到…。 任天堂も激怒「酷似ゲーム」運営会社が犯した痛恨の失態
つまり、パルワールドにポケモンとの類似性が指摘された時点で、すでにユーザーの脳内では、エンタメ的な「バトル」として扱われていたのではないか。そして訴訟により「ついに山が動いた」となり、そこへツッコミどころのある声明がかけ合わさることで、よりネット民のおもちゃと化してしまう。 ■法廷で何を語るかが重要 今回発表された訴訟は、あくまで特許権を争うもので、著作権や商標権を問うものではない。また、具体的に「どの特許の、どの部分が抵触しているか」まで公表されているわけではなく、あくまで両社がプレスリリースしている文面以上の情報がないのが現状だ。また、特許権である以上、ポケモンとの類似が指摘されていたデザイン面での争いでもないことにも、留意が必要となる。
今後の行方は、司法判断に任される。任天堂側の発表も、ポケットペアの声明も、その通過点でしかない。重要なのは法廷で何を語るかであり、その審判が評価を決める。そうした前提から考えると、自らに正当性があると主張するならば、一般向けの声明で熱弁するよりも、法廷で粛々とやるべきだろう。 よく「沈黙は金」と言われる。企業広報の場合、完全に沈黙してしまうと、それはそれで問題なのだが、「言うべき部分は言い、蛇足になるところは言わない」といったコントロールが重要となる。今回のパルワールドをめぐる声明に欠けていたのは、そのバランス感覚だったのではないだろうか。
城戸 譲 :ネットメディア研究家・コラムニスト・炎上ウォッチャー