「インディーゲーム業界を代表するな」「主語がデカい」とツッコミ殺到…。 任天堂も激怒「酷似ゲーム」運営会社が犯した痛恨の失態
さらに声明文は、主語の大きさに加えて、「同情を求める文章」だったことが、火に油を注ぐ結果となった。文字ベースのコミュニケーションにおいて、感情をあらわにした表現は、どちらに転ぶか、状況によって変わってくる。うまく興味を引くことができれば効果的だが、そうでない場合には、不要な反感を買いかねない。 感情を込めた描写は、ときに「お気持ち表明」と呼ばれ、嘲笑の的になることもある。また使い方によっては、「お涙頂戴」もしくは「ユーザーにこびている」のように感じさせてしまう。そうなれば、本来は枝葉でしかない部分ばかりに目が向いてしまい、本来伝えるべきメッセージはかすんでいく。
筆者も含めて、ネットユーザーの多くは、あまのじゃくだ。ときには「あら探し」と言えるほど、ツッコミどころを探し、ちゃちゃを入れることに、ある種の達成感を覚えている部分がある。そうした性質を考えると、不用意に「ツッコミどころのある文章」を公開するのは、みずから炎上に飛び込んでいくのと同じだ。 ■ネットユーザーの視点を欠いた声明文 これらの状況を勘案すると、ポケットペアの声明文は、「ネットユーザーにどう受け取られるか」の視点に欠けていたように思える。主語の大きさや、感情をかきたてる文章は、平常時であればプラスになる場合もある。しかし、今回のように、その対応を問われている場面では、逆効果になりかねない。
加えて、任天堂のIP分野が、ある意味でネットユーザーから神格化されていることも大きい。これまで同社のゲームに関係する訴訟で勝ってきたことから、「任天堂法務部」は、ある種のネットミームと化してきた。 当然ながら、これは都市伝説的な意味合いが強いのだが、お堅いイメージのある「知的財産」が、エンタメコンテンツとして消費されている珍しい事例と言えるだろう。なかば冗談だとしても、「あの任天堂法務部に立ち向かうとは」といったSNS投稿は、今回のパルワールドをめぐる事案でもたびたび見られた。