「彼女は大谷翔平のような存在になる」スーパーフォーミュラ参戦Jujuを支えるマネージャーに聞く広報メソッド。政治力よりも“マスの力”で世界最高峰目指す
■「みんなでJujuを支えよう」という形に
村司氏は大学卒業後からスポーツ選手やアーティストのマネジメント事業に携わり、現在はクマモトコミュニケーションズという会社の代表を務める。レース業界に携わるのはJujuのマネジメントが初めてで、彼女がデンマークF4に参戦する直前からサポートを行なっている。 「スポンサーにまつわることはなんでもやります、という感じです」 村司マネージャーは、自らの仕事内容についてそう語る。 言うまでもなく、レース活動には多額の資金が必要となることから、レーシングドライバーにとってスポンサーによる支援は欠かせない。そのため、村司マネージャーは数え切れないほど多くの企業にアプローチしているという。彼はある意味体育会的な自身のスポンサー営業を「誰にでもできること」だと表現する。 そしてそのスポンサーとなり得る企業にアピールをするためには、企業の心を打つような資料作りが必要になる。「資料づくりには命をかけている」とまで言う村司マネージャーが重要視するのは、数字。特にどれだけのメディア露出があったのかというデータは、スポンサーに交渉する上で「Jujuを応援する具体的なメリット」として武器になる。そういった認識も、一般メディアを活用しようとしている現状に寄与していると感じられる。 その後もさらに話を聞いていくと、彼らがどのような形でJujuをサポートしようとしているか、その輪郭が見えてきた。 村司マネージャーによると、Jujuサイドは大口のスポンサーだけでなく、企業が月額5万円や10万円といった少額から参入できる“サポーター”という仕組みを作りたいと考えているという。これは多数の者から支援を募る「クラウドファンディング」の考え方に近いと言えるだろう。 「これは月額5万円からできるもので、しかも企業版ふるさと納税として収めれば、負担もさらに軽減されます。こういった比較的応援しやすいパッケージも作っています」 「これはJujuを幅広く応援していただきたいと思っているからです。『うちは◯千万円以上じゃないとやりません』ということではなく、みんなに応援してもらいたい存在ですから」 Jujuを「みんなで応援する、支える」というのは、彼らの掲げるコンセプトのひとつのようだ。Jujuは世界最高峰のレースであるF1を目指すと公言しているが、ヨーロッパの世界で生き抜くために、政治的な力ではなく、“マス(集団、大衆)の力”で対抗していきたいという想いもあるという。 「彼女の今後においては、多数のファンのサポートが必要だと思っています」 「モータースポーツはヨーロッパが中心で、ヨーロッパ主義なところがあると思います。したがって、アジア人が追いやられてしまうきらいがあります。それをどうにかするには政治的な力も必要なんでしょうけど、僕はマスの力……『これだけファンがいるJuju選手をみんなで支えよう』という形に持っていくのも、サポートのひとつだと思っています」 「一部のすごくお金を持っている方だけに応援してもらうのではなく、みんなに応援してもらう形にした方が、将来的にも役に立つと思っています」
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