海外開催最多メダル獲得なるか、期待かかる新エース パリ五輪開幕まで1カ月
パリ五輪の会場は、1900年の万国博覧会のために建てられた「グランパレ」。2010年には、世界選手権が行われた。「当時行ったスタッフの方に聞くと、今までで一番(すごい)と言っていた。そんな場所で五輪をできるのは楽しみ」。フェンシング発祥の地で栄冠をつかみ取る。
■打倒中国 今度こそ
補欠として同行した東京五輪から約3年。選手層の厚い卓球女子の日本勢で、今や押しも押されもしないエースとなった早田ひなが初の五輪に挑む。約2年間のシングルス代表選考レースを圧倒的な強さで制した23歳は「目標は五輪で金メダルを取って、支えてくださった皆さんに恩返しをすること」と意気込む。
北九州市出身。五輪2大会出場の岸川聖也らを輩出した地元の石田卓球クラブに4歳から通い、利き手とは異なる左打ちを勧められて才能が開花した。かつては同学年の伊藤美誠(スターツ)、平野美宇(木下グループ)の陰に隠れていたが、167センチの長身を生かした強烈なフォアハンドドライブを武器に急成長を遂げ、2020年の全日本選手権で初優勝を果たした。
出場を逃した東京五輪では、伊藤や平野らの練習相手や球拾いなど、サポート役に徹した。「たくさんの方が私に気を使って接してくれている。その方々のためにも、パリに出たい」。五輪への意欲を高めてフォームの改造や肉体強化に取り組み、昨秋からはバックハンドの練習に時間を割いて戦術幅を広げた。
中国と対戦した2月の世界選手権団体戦決勝では、東京五輪シングルス金の陳夢を8度目の対戦で初めて破り、最大のライバル国をあと一歩まで追い詰めてみせた。「昨年の自分とも今年の自分は違う。勝負できるという自信を持って決勝に臨めた」。団体、混合ダブルスにも出場する大舞台で頂点へと羽ばたく。(運動部 久保まりな、奥村信哉)