海外開催最多メダル獲得なるか、期待かかる新エース パリ五輪開幕まで1カ月
パリ五輪開幕まで26日で1カ月。日本選手団は史上最多の金27個を獲得した2021年東京五輪に続く活躍を期す。大きな期待がかかるのが、東京からの3年間でエースの地位を確立したフェンシング女子の江村美咲(立飛ホールディングス)と、卓球女子の早田ひな(日本生命)。準備が大詰めを迎えたパリは熱戦のステージとなる歴史的建物や観光名所が「五輪仕様」に変わりつつあり、32競技、329種目を実施する祭典が刻一刻と迫る。 ■カギは柔道とレスリング 海外開催で金メダルが最多なのは2004年アテネ五輪の16個。東京五輪には届かなくとも、アテネ超えを目指す上でカギとなるのが東京で9階級を制した柔道と、女子だけで4階級で「金」のレスリングだ。 柔道では男子66キロ級の阿部一二三、女子52キロ級の詩(ともにパーク24)が兄妹による2大会連続の同日金メダルを視野に入れる。体操男子の橋本大輝(セントラルスポーツ)は個人総合、種目別鉄棒の2連覇に加え、前回逃した団体総合での頂点が目標だ。 さらに、昨年の世界選手権を制した陸上女子やり投げの北口榛花(JAL)、世界選手権個人2連覇のフェンシング女子サーブルの江村美咲への期待も大きい。東京で「金」だったスケートボード男女ストリート、女子パークに加え、初採用となるブレイキンの女子も可能性は十分。球技では優勝した1972年ミュンヘン五輪以来のメダルを狙うバレーボール男子や、団体で打倒中国に挑む卓球女子の活躍も注目される。 ■世界女王 誇り胸に 3回戦敗退だった東京五輪から3年がたち、フェンシング女子サーブルの江村美咲は「世界女王」という肩書をひっさげ、パリ五輪を迎える。個人、団体での金メダル獲得を目標に掲げ、「自分を信じて試合を楽しんで、悔いなく全部出し切りたい」と、静かに闘志を燃やしている。 1988年ソウル五輪男子フルーレ代表の宏二さんを父に持ち、母も元日本代表選手というフェンシング一家に育った。小学3年時に本格的にフルーレを始め、中学入学直前にサーブルに転向すると、2014年ユース五輪(中国・南京)の大陸別混合団体で金メダル。17年ユニバーシアード(台北、現世界ユニバーシティー大会)では個人で銅メダルを獲得するなど、少しずつ階段を上ってきた。 東京五輪以降は、心身の疲弊から2週間の完全休養を取ったり、けがに悩まされりと、順風満帆ではなかった。それでも22、23年の世界選手権で日本史上初となる個人2連覇を達成し、日本のエースに成長。「たった3年で、自分のフェンシングも、周りからの注目度も、すごく変化があった。あっという間だった」と振り返る。