ディカプリオ作品やバービーも。舞台美術へのこだわりがすごすぎるアカデミー賞作品3選
第96回アカデミー賞のノミネート作品が2024年1月23日に発表され、3月10日の発表に向けて、どの作品が受賞するのか注目が高まっています。インテリアやアートに興味がある方なら、「美術賞」にも注目したいところ。今回はアカデミー賞美術賞にノミネートされた作品から特に美術が優れている作品をピックアップ。映画のなかの美しい空間、インテリアや建築を堪能してみましょう。 【写真集】まだまだある!舞台美術にこだわり抜いたアカデミー賞作品
『哀れなるものたち』
若くして自ら命を絶った女性ベラ(エマ・ストーン)は、奇妙な天才外科医ゴッドウィン・バクスター(ウィレム・デフォー)の手によって蘇生。未知なる世界を知るために弁護士ダンカン(マーク・ラファロ)の誘いにのって、ベラは旅に出ます。人との出会いや様々な体験を経て、時代の偏見から解き放たれていくベラは、少しずつ成長していきます。 これまでも『籠の中の乙女』『ロブスター』『女王陛下のお気に入り』などの作品が受賞・ノミネートされてきた奇才ヨルゴス・ランティモス監督の話題作『哀れなるものたち』。今作は美術賞のほか、作品賞、監督賞、主演女優賞、助演男優賞、脚色賞、撮影賞、編集賞、衣装デザイン賞、メイクアップ&ヘアスタイリング賞、作曲賞の11部門にノミネート。 ヨルゴス・ランティモス監督の作品は、やや突飛な設定や世界でもすっと入り込んでしまう不思議な魅力があります。今作も、美術、音楽、衣装など細部までこだわりぬかれていて、どれも造形が美しく、クリエイティブで色彩豊か。ゴッドの家、船内、売春宿などのベラが生きるファンタジックな世界は、プロダクション・デザインを務めたジェームズ・プライスとショーナ・ヒースのタッグによってつくられたもの。ユニークな曲線が美しい壮大なセットはどのシーンも印象深く、存在感があるけれど物語にマッチしていて引き込まれます。
『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』
アーネスト・バークハート(レオナルド・ディカプリオ)は、地元の有力者である叔父のウィリアム・ヘイル(ロバート・デ・ニーロ)を頼り、オクラホマへと移り住みます。アーネストは、先住民族のモリー・カイル(リリー・グラッドストーン)と出会い、2人は夫婦になりますが、その後、次々と残虐な連続殺人事件が起こり、FBIが調査を始める。その事件にはある驚愕の真実が。 『ウルフ・オブ・ウォールストリート』『沈黙 -サイレンス-』『アイリッシュマン』など話題作を生み出している巨匠マーティン・スコセッシ監督による超大作『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』。これまでも監督賞や作品賞を何度も受賞していますが、今作も美術賞のほか、作品賞、監督賞、主演女優賞、助演男優賞、撮影賞、編集賞、衣装デザイン賞、作曲賞、歌曲賞の10部門にノミネート。 マーティン・スコセッシとレオナルド・ディカプリオが6度目のタッグを組んだ『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』。実話を元に製作された今作は、2人の「伝えるべき物語」という強い想いが詰まったサスペンスや人間ドラマなど何通りもの味わい方ができる見ごたえたっぷりな作品です。プロダクション・デザインを務めたジャック・フィスクは、歴史的に正確な造形をつくるために、映画の登場人物の背景も調べて巨大なセットを制作。オセージ族のサポートにより丁寧に誠実につくり込まれた美術からは、1920年代のオクラホマ州の風景、オセージ族の暮らしなど当時の文化や歴史に対する敬意やメッセージが伝わってきます。