五輪前哨戦の四大陸選手権で逆転Vを許した宇野昌磨に不安はないのか?
中庭氏が特に評価したのは五輪用のプログラムの完成度の高さだ。 「宇野選手の特徴は、数種類の4回転ジャンプを身につけている部分にあります。今季は4回転サルコーや、後半に4回転フリップを入れるなど4回転の本数を増やす、あるいはプログラムの後半に難しい4回転を配置することに積極的に挑んできました。しかし、高難度の4回転を増やすことで、頑張る仕草が少しですが、力みとなって表面化して、演技の細かな音や振り付けと言った表現の部分で、ジャンプのミスにより音を外すというケースも出ていました。 今季のグランプリシリーズでは、演技の後半に4回転を3本という難しいジャンプ構成に挑みましたが、安定して4回転を成功する事ができず、ミスしてしまったことで、本来、宇野選手の持つプログラム全体の素晴らしい雰囲気が出し切れない試合がありました。しかし、今回は、そこをスッキリさせ冒頭に4回転ループ、4回転フリップを入れ、後半に4回転トゥループ+2回転トゥループ、4回転トゥループの構成にしたことで非常にプログラムの完成度が高まっていました。おそらくこれが、五輪本番のプログラムなのでしょう。私は、宇野選手の選択は正解だったと見ています。ネイサン・チェンは、4回転を6本挑んでくるでしょうが、宇野選手の演技構成点の高さに支えられた得点からすると十分に勝負になります。前半のジャンプミスにより、今回2位になりましたが、金メダルを狙える可能性のあるプログラムと言っていいのではないでしょうか」 金メダル候補の一人、ネイサン・チェン(18、アメリカ)は、5種類の4回転をフリーのプログラムに6つ入れてくる可能性もある。宇野は、そのネイサン・チェンと、国内ライバルの羽生を意識して、今季は4種類の4回転ジャンプを5つ入れ込むプログラムにも挑戦してきた。だが、四大陸選手権では、4回転サルコーを外し、難易度の高い4回転を冒頭に連続で集めてプログラムをシンプルにしたことで、プログラムの完成度が高まり、逆にミスを犯すリスクが減り、演技構成点がアップするなどのプラス効果が見込まれるという。 五輪最後の前哨戦は2位に終わったが、平昌五輪の表彰台で真ん中に立つための戦略は整った。